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 これまでスマートフォンアプリにおいて絶対的な存在だった、米Apple(アップル)や米Google(グーグル)のアプリストア。だが2020年に起こった「フォートナイト」に関する騒動や、クラウドゲームへの対応を巡る一幕などで難しい対応を迫られ、その絶対的な立場が徐々に失われつつあるように見える。2021年のアプリの動向を見据える上でも、アプリストアが抱える課題を改めて確認しておきたい。

手数料問題をあらわにしたフォートナイト騒動

 スマートフォンでアプリを入手するには、長らくiPhoneであれば「App Store」、それ以外のAndroid端末であれば「Google Play」からアプリをダウンロードするというのが常識となっている。それゆえアプリを配信する側もこれらストアを通して配信や課金をするのが当たり前という認識だったはずだ。

 だが2020年、その常識に異を唱える動きがいくつか起こった。中でも注目を集めたのが米Epic Games(エピックゲームズ)が起こした人気ゲーム「フォートナイト」に関する騒動だ。

 その内容を簡単に振り返ると、エピックゲームズは同社が提供するフォートナイトのスマートフォン版に独自の課金システムを導入。それがストア側が用意した課金システムを使わなければならないという規約に違反したことで即時に削除された。その行為自体がエピックゲームズによる意図的なものだったことで大きな話題を呼んだ。

 そもそもエピックゲームズがこのような行動を起こしたのは、アプリストアの課金システムを使うと売り上げの30%を手数料として徴収される現状に異を唱えるため。アプリストアは10年超の間に非常に大きな規模のプラットフォームとして成長したにもかかわらず、手数料の割合は長年にわたりほとんど見直されてこなかったのだ。

 手数料の高さに対しては、古くから多くのアプリ開発者が不満を訴えてきた。エピックゲームズだけでなく、音楽配信サービスを提供するスウェーデンのSpotify(スポティファイ)などもその問題を訴えてきた。だがそれでも2社は手数料を見直そうとはしなかったことから、エピックゲームズは人気ゲームの配信と売り上げを犠牲にするというかなり強引な手段を取ることで、手数料問題を世に訴える手段に出たわけだ。

 中でも同社の批判の的となったのが、iPhone向けには実質的にApp Store以外のアプリ配信手段を提供できないようにしているアップルである。そこで同社はアップルを批判するキャンペーンを繰り返すとともに、訴訟も実施。アップルもそれに対抗して訴訟を起こしており、両社の深刻な対立は今なお続いているようだ。

エピックゲームズはアプリストアからの「フォートナイト」の削除と引き換えに、アプリストアの手数料問題を世に訴える手段に出ており、現在もアップルを批判する「#FreeFortnite」のキャンペーンを継続している
エピックゲームズはアプリストアからの「フォートナイト」の削除と引き換えに、アプリストアの手数料問題を世に訴える手段に出ており、現在もアップルを批判する「#FreeFortnite」のキャンペーンを継続している
(出所:エピックゲームズ)
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