オンライン開催となった世界最大級のテクノロジー見本市イベント「CES 2021」では5Gの盛り上がりが期待された。残念ながら具体的な活用事例をあまり見ることはできなかった。ただ5Gの普及を促す可能性のあるデバイスやソリューションは着実に増えている。
CESでもキラーコンテンツは見られず
冬に再び猛威を振るい始めた新型コロナウイルス。その影響はIT関連の見本市イベント開催にも大きな影響を与えており、既に幾つかのイベントが中止、あるいはオンラインへの移行などの措置が取られているのだが、それは世界最大のテクノロジーの総合見本市イベント「CES」も例外ではない。
2020年は辛うじて米国・ラスベガスでのリアル開催となったCESだが、2021年1月11〜14日に開催された「CES 2021」はコロナ禍の影響によりオンラインでの実施となった。筆者も2021年は数年ぶりにCESの取材をする予定で、宿泊やフライトの確保などの準備を進めていたのだが、オンラインでの開催となったことから結局、家から出ることなくCESの取材をすることとなった。
今回のCESについて全体を通して振り返ると、オンラインでの開催となり出展企業も減少したこともあってか、明確なテーマが見えづらかったというのが正直なところだ。新型コロナウイルスに関連する講演や出展が増えたというのは今回のCESを象徴しているが、それが展示の中心となっているわけでもない様子だ。
盛り上がりが期待された「5G」に関しても、注目されるものは少なかったように感じる。もちろん5Gに対する関心は依然として高い。初日となる2021年1月11日(米国時間)の基調講演に米Verizon Communications(ベライゾン・コミュニケーションズ)CEOのハンス・ベストバーグ氏が登壇したのもそれを象徴している。
だが5Gを積極活用した具体的なデバイスやソリューションの展示が見られたかというとそうでもなく、目立たなかったというのが正直なところだ。5Gはこれまでも注目度の割に「キラー」となるコンテンツやサービスが不在で、活用が進んでいないといわれてきた。今回のCESはその状況が改善されていないと証明してしまったともいえる。