全3139文字
PR

 ディー・エヌ・エー(DeNA)は2021年2月9日、守安功氏が4月1日付で代表取締役社長兼CEOを退任し、新たに取締役兼執行役員COOの岡村信悟氏が就任すると発表した。スマートフォン時代の新事業育成に苦しんだ10年間の守安氏の体制を振り返りながら、同社の現状を追ってみよう。

ゲーム事業はデベロッパーへの転換で生き残る

 スマートフォンゲームやスポーツなどの事業を手掛けていることで知られる、インターネットサービス大手のディー・エヌ・エー。同社は2011年から創業者の南場智子氏に代わり、長らく守安功氏が代表取締役社長兼CEOを務めてきたが、4月1日付で守安氏が退任、新たな代表取締役社長兼CEOとして、現在の取締役兼執行役員COOである岡村信悟氏が就任すると発表している。

 2月9日に実施された決算説明会で、社長交代の理由について聞かれた守安氏は、就任から10年が経過し、若手を引き上げる組織とするため「上のレイヤーから変わっていくことにした」と答えている。また2020年3月期の決算で主力のゲーム事業に関する多額の減損損失を計上して経営が悪化していたが、それ以降業績が回復し経営面で落ち着きを取り戻しつつあることも、今回の社長交代人事に影響したようだ。

守安氏は10年にわたってDeNAの社長を務めてきたが、2021年4月1日付で退任すると発表した。写真は2016年7月8日のスマートモビリティ推進コンソーシアム設立会見より(筆者撮影)
守安氏は10年にわたってDeNAの社長を務めてきたが、2021年4月1日付で退任すると発表した。写真は2016年7月8日のスマートモビリティ推進コンソーシアム設立会見より(筆者撮影)
[画像のクリックで拡大表示]

 改めて2011年からの守安氏の体制による同社の動向を振り返ると、フィーチャーフォンからスマートフォンへという環境の変化に苦しんだ10年間だったといえる。同社の創業事業はeコマースだが、その後ブラウザーゲームを主軸としたSNS「mobage」を中心に、フィーチャーフォン向けのコンテンツやサービスで急成長してきた。

 だが2011年はフィーチャーフォンからスマートフォンへの移行が急速に進んだ時期でもある。主力のゲーム事業に関しても、同社がプラットフォームを提供し強みを持っていたブラウザーゲームから、「App Store」「Google Play」を主軸としたモバイルアプリへと急速に移行が進んだ結果、その強みを失うこととなった。

 その結果同社はmobageから軸足を移し、プラットフォーム事業からゲームアプリを開発・配信するデベロッパーへと転身を図ることとなる。同社は大ヒットタイトルこそ生み出せていないものの、「ファイナルファンタジー レコードキーパー」「逆転オセロニア」など中堅クラスのヒットタイトルをいくつかリリースすることに成功している。さらに2015年には任天堂と提携するなど、同社のIP(知的財産)を活用したゲームを配信するなどして事業の幅を広げている。

 一方で、プラットフォーム事業を志していた時代の資産は最近までの業績に大きく影響している。実際、先に触れた2019年度の減損損失も、その多くはmobageの海外展開のため2010年に買収した米エヌジーモコ(ngmoco)に関連するものだという。

DeNAはスマートフォン黎明(れいめい)期に、海外でのゲームプラットフォーム拡大を目指して米エヌジーモコ(ngmoco)を買収したが、アプリストアが実質的なプラットフォームとなったことでその路線を断念。逆に同社の業績悪化を招く結果となった。写真は2010年12月15日の「モバゲーフォーラム」より(筆者撮影)
DeNAはスマートフォン黎明(れいめい)期に、海外でのゲームプラットフォーム拡大を目指して米エヌジーモコ(ngmoco)を買収したが、アプリストアが実質的なプラットフォームとなったことでその路線を断念。逆に同社の業績悪化を招く結果となった。写真は2010年12月15日の「モバゲーフォーラム」より(筆者撮影)
[画像のクリックで拡大表示]