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 ヤフーを有するZホールディングスとメッセンジャーアプリ大手のLINE社は、経営統合が完了した2021年3月1日に会見を開き、経営統合後の戦略について説明した。ところが両社のサービスは一部を除いてほぼ統合されず、併存していく方針のようだ。そのことから、抱える課題も少なからずあるように感じる。

ヤフーとLINE社の強みを連携して事業を強化

 2019年11月に経営統合を発表した、ソフトバンク傘下のZホールディングスと、韓国NAVER(ネイバー)傘下のLINE社。Zホールディングスは国内ポータルサイト大手の「Yahoo! Japan」を運営するヤフーを有し、LINE社は国内で最も高いシェアを持つメッセンジャーアプリ「LINE」を有することから、両社の経営統合が大きな驚きを与えたことは確かだろう。

 経営統合は新型コロナウイルスの影響で、本来の予定だった2020年10月から半年近く遅れることとなったが、その間両社の方針は変わることなく、2021年3月1日に無事経営統合が完了。新生「Zホールディングス」の傘下にヤフーやLINE社が収まるという形で、事業を推し進めていくようだ。

旧ZホールディングスとLINE社は、2021年3月1日に経営統合が完了したと発表。ヤフーとLINE社は、新しいZホールディングスの傘下企業となる。写真は同日に実施された新Zホールディングスの戦略方針説明会より(筆者撮影)
旧ZホールディングスとLINE社は、2021年3月1日に経営統合が完了したと発表。ヤフーとLINE社は、新しいZホールディングスの傘下企業となる。写真は同日に実施された新Zホールディングスの戦略方針説明会より(筆者撮影)
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 両社は同日に戦略方針説明会を実施し、新Zホールディングスによる今後の取り組みについて説明。ヤフーは検索やポータルサイト、LINE社はメッセンジャーアプリで培った大きな顧客基盤を持ち、共に広告事業が主力事業の1つとなっていることから、それらを根幹事業としながら、とりわけ国内での社会課題に結びつく「コマース」「ローカル・バーティカル」「フィンテック」「社会」の4分野を集中領域とし、両社の強みを生かして注力していくとした。

新Zホールディングスでは「Yahoo! Japan」「LINE」の強みを基盤としながら、コマースやフィンテックなど4領域で集中し、社会課題解決に向けた事業強化を進めるとしている。写真は2021年3月1日の新Zホールディングス戦略方針説明会より(筆者撮影)
新Zホールディングスでは「Yahoo! Japan」「LINE」の強みを基盤としながら、コマースやフィンテックなど4領域で集中し、社会課題解決に向けた事業強化を進めるとしている。写真は2021年3月1日の新Zホールディングス戦略方針説明会より(筆者撮影)
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 具体的には、コマースであればLINEのソーシャル分野での強みに、旧Zホールディングスが強みを持つeコマースを組み合わせたソーシャルギフトやライブコマースなどを展開。ローカル・バーティカルであれば、旧Zホールディングスが持つ「Yahoo!ロコ」「一休.comレストラン」や、LINE社が持つ「出前館」などのリソースを活用した実店舗のデジタルトランスフォーメーションや、Yahoo! Japan、LINE、そしてスマートフォン決済の「PayPay」を連携してのマーケティングソリューションなどを展開するとしている。

 さらに社会関連の事業では、官民の連携による自治体のデジタルトランスフォーメーションや防災対策などを進めていくとのこと。中でも現在大きな注目を集めている新型コロナウイルスのワクチン接種に関する取り組みでは、LINEを活用した予約システムを自治体に提供、全国約200の自治体で導入される見込みだとしている。