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 スマートフォンのシェアで世界7位にある中国realme(リアルミー)は、2021年4月8日に日本進出を発表した。だが投入される新製品はスマートウオッチやワイヤレスイヤホンなどで、同社の主力であるスマートフォンの姿はない。なぜスマートフォン以外の製品で日本進出に至ったのか、リアルミーの日本法人であるシンガ・ジャパンの代表取締役社長である賀夢瀟氏に話を聞いた。

世界7位のメーカーながらスマートフォンを投入せず

 世界的に見ると中国メーカーの台頭が著しいスマートフォン市場だが、中でもここ最近、急速な伸びを見せているのがリアルミーである。リアルミーはもともと、同じ中国OPPO(オッポ)の新興国向けブランドとして設立した後、2018年にオッポから分離した企業だ。

 その後リアルミーは、主として新興国の若い世代をターゲットとした低価格のスマートフォンを積極的に投入。プロダクトデザインディレクターに深澤直人氏を起用するなど、価格や性能だけでなくデザインにも力を入れることで10代、20代の若い世代から支持を獲得している。米Counterpoint Technology Market Research(カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチ)の調査では、2020年第3四半期の世界スマートフォン出荷台数シェアで7位にランクインするなど、スマートフォン市場で急成長を果たしている。

リアルミーは低価格ながら高いデザイン性で、新興国の若い世代を中心に支持を集めている。海外で販売されている「realme X50 5G Master Edition」などでは、日本のプロダクトデザイナーである深澤直人氏がデザインを担当している
リアルミーは低価格ながら高いデザイン性で、新興国の若い世代を中心に支持を集めている。海外で販売されている「realme X50 5G Master Edition」などでは、日本のプロダクトデザイナーである深澤直人氏がデザインを担当している
(出所:シンガ・ジャパン)
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 そのリアルミーの日本法人であるシンガ・ジャパンは、2021年4月8日に日本向けの新製品を発表、日本市場への参入を果たした。ここ最近、端末値引き規制による低価格スマートフォン需要の高まりを受け、中国のスマートフォンメーカー大手が相次いで日本進出を打ち出しているだけに、同社の進出もある意味順当なものだといえる。だが意外だったのは投入される製品群である。

 同社が販売するのは「realme Buds Air Pro」などワイヤレスイヤホン3製品とスマートウオッチの「realme Watch S」、そしてモバイルバッテリーの「realme 20000mAh Power Bank 2」。いわゆるIoT製品のみの投入で、スマートフォンの姿はどこにもなかったのだ。

リアルミーの日本進出第1弾として発表されたワイヤレスイヤホンの「realme Buds Air Pro」と、スマートウオッチの「realme Watch S」。主力のスマートフォンはラインアップから外れている(筆者撮影)
リアルミーの日本進出第1弾として発表されたワイヤレスイヤホンの「realme Buds Air Pro」と、スマートウオッチの「realme Watch S」。主力のスマートフォンはラインアップから外れている(筆者撮影)
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 そもそもリアルミーがIoT製品を手掛けるようになったのは2019年からと日が浅いだけに、なおさらIoT製品のみでの日本進出はかなり意外だったというのが正直なところだ。なぜスマートフォンメーカーであるリアルミーが、日本進出に当たって主力のスマートフォンではなく、IoT製品を重視する戦略を取るに至ったのだろうか。