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 一時は関心が落ちていた仮想現実(VR)だが、専用ハードとコンテンツが充実してきたことにより、ここにきてコンシューマー向けの利用が拡大しつつあるようだ。一方で、スマートフォンを使ったVRでは撤退の動きが相次いでおり、温度差があるようにも感じられる。その理由は一体どこにあるのだろうか。

スタンドアローン型HMDで利用が急拡大

 長らく注目を集めながらも、なかなかコンシューマー向けの市場形成が進まなかったVR。だがここ最近、そのVRが盛り上がりを見せつつあるようだ。

 理由の1つはVR専用デバイスの充実であろう。VRコンテンツを楽しむにはヘッドマウントディスプレー(HMD)が必要だが、従来はパソコンやコンシューマーゲーム機に有線で接続する必要があるなど制約が多く、手軽に楽しめないことが弱点となっていた。

 だがここ最近、HMD単体でVRコンテンツを楽しめるスタンドアローン型のVR用HMDが増えており、それがVRの裾野を広げる要因となっている。特にスタンドアローン型VR用HMDの投入に積極的なのが米Facebook Technologies(フェイスブックテクノロジーズ)で、2018年に「Oculus Go」を発売して以降、比較的低価格なスタンドアローン型のVR用HMDを継続的に投入している。

 中でも2019年に投入した「Oculus Quest」は、スタンドアローン型ながら6軸で体の動きを捉えられるようになり、より本格的なVRコンテンツが楽しめるようになった。2020年10月投入の後継モデル「Oculus Quest 2」の発売に際しては、国内でもテレビCMを展開するなど積極的なプロモーションを実施し、一般消費者への販売を本格化するに至っている。

ケーブル接続の必要がなく、3万円前後と比較的低価格なスタンドアローン型VR用HMDの登場で、コンシューマー向けVRの市場は拡大傾向にある。写真は2021年3月にJR東日本スタートアップが実施した「VRを使った未来の物産展from青森」より(筆者撮影)
ケーブル接続の必要がなく、3万円前後と比較的低価格なスタンドアローン型VR用HMDの登場で、コンシューマー向けVRの市場は拡大傾向にある。写真は2021年3月にJR東日本スタートアップが実施した「VRを使った未来の物産展from青森」より(筆者撮影)
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 一方でコンテンツ面でも拡充の動きが進んでいるようだ。「Beat Saber」などのヒットゲームタイトルが出てきているのに加え、最近ではコロナ禍ということもあってか、「VRChat」などのVRソーシャルネットワークサービスなどで実施されるイベントが注目され、メディアで取り上げられる機会も増えている。

 ちなみに筆者もOculus Quest 2を購入して使ってみているが、購入時の価格は64GBモデルで3万7000円前後と、以前のVR HMDの価格を考えればかなり買いやすいと感じた。またインターフェースも一般ユーザーが使いやすいようかなり改善されており、コンシューマーゲーム機を使っている人なら苦労せずに使いこなせるのではないかとも感じている。