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 人気AR(拡張現実)ゲーム「Pokémon GO(ポケモンGO)」などを手掛ける米Niantic(ナイアンティック)は2021年11月8日(米国時間)、ARアプリ開発者向けの開発キット「Niantic Lightship AR Developer Kit(Lightship ARDK)」を公開した。同社のARアプリ開発基盤を他の開発者にも提供することで、メタバースによってVR(仮想現実)に注目が高まっている現状を変えられるだろうか。

「ポケモンGO」などのAR技術を活用できる「Lightship ARDK」

 ここ最近大きな動きを見せているナイアンティック。ポケモンGOに続く新しいARゲームとして、任天堂の人気ゲーム「ピクミン」のキャラクターを起用した「Pikmin Bloom」を2021年10月27日より提供開始。その一方、「ハリー・ポッター:魔法同盟」を2022年1月31日にサービス終了する。その同社が日本時間の2021年11月8日、新たにもう1つ大きな施策を発表した。

 それは同社のARゲームの動作基盤となっているプラットフォーム「Niantic Lightship Platform」を、他の開発者にも提供してARアプリ開発を後押しするというものだ。今回発表したのは第1弾となるNiantic Lightship AR Developer Kitである。

ナイアンティックが公開した「Lightship ARDK」。「ポケモンGO」などに用いられている3つのAR技術を、他の開発者が利用できる仕組みとなる
ナイアンティックが公開した「Lightship ARDK」。「ポケモンGO」などに用いられている3つのAR技術を、他の開発者が利用できる仕組みとなる
(出所:ナイアンティック)
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 このLightship ARDKを使うことで、アプリ開発者は3つの機能が利用できるという。1つは「Real-Time Mapping」(リアルタイムでの現実世界の再現)で、「メッシング」という技術を用いてスマートフォンのカメラで撮影した映像から3Dの地図を自動的に作成し、地形や奥行きなどを判別できるようにする。現実のオブジェクトの深度なども判定できることから、仮想のキャラクターが木の裏に隠れるなどの表現も可能になる。

Lightship ARDKで利用できる技術の1つ。カメラで映し出した映像をメッシングという技術で地形や奥行きなどを把握し、仮想のキャラクターがオブジェクトの陰に隠れるなどの表現が可能になる
Lightship ARDKで利用できる技術の1つ。カメラで映し出した映像をメッシングという技術で地形や奥行きなどを把握し、仮想のキャラクターがオブジェクトの陰に隠れるなどの表現が可能になる
(出所:ナイアンティック)
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 2つ目は「Understanding」(環境の理解)。現実世界にある地面や空、建物などを識別にする「セマンティック セグメンテーション」という技術を活用することで、例えば空を認識したら飛行機を登場させたり、テーブルを認識したらキャラクターがその上に乗ったり、といった表現ができるようになる。

 そして3つ目は「Sharing」(体験の共有)。これは同じ場所にいる最大5人に対し、仮想オブジェクトなどを共有する仕組みだ。例えば仮想のキャラクターの正面に立った人には顔が、後ろに立った人には背中が見えるようになり、現実空間で複数の人たちが同じ体験を共有できるようになるわけだ。

 こうした技術を自身で開発するには相当な手間と労力が必要になる。そこでナイアンティックは、Lightship ARDKを公開することでARを活用したアプリの作成を簡単にし、ARアプリの開発者を増やしたい狙いがあるといえる。