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 コロナ禍で人気を浴びるようになったフードデリバリーサービスだが、国内外で急速に競争が激化し再編の動きも加速している。2021年、国内では最後発での参入となった米DoorDash(ドアダッシュ)は、急速に厳しさを待つ日本市場でどのような戦略をもって攻略しようとしているのだろうか。日本法人のDoorDash Japanで代表兼カントリーマネージャーを務める山本竜馬氏に話を聞いた。

DoorDash Japanの山本竜馬氏
DoorDash Japanの山本竜馬氏
(出所:DoorDash Japan)
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フードデリバリーは5~10万人規模の都市でも成り立つ

 外出自粛が求められたコロナ禍で関心が高まったフードデリバリーサービス。コロナ禍で市場が急成長し、人気が上がる一方で、2020年から2021年にかけて外資系企業が相次いで参入したことから国内でも競争が激化している。

 そうした中、2021年6月に日本市場に参入したのがドアダッシュだ。同社は米国のフードデリバリー市場において、日本で人気の「Uber Eats」を手掛ける米Uber Technologies(ウーバー・テクノロジーズ)などを抑えトップシェアを獲得している。一方で日本市場では最後発の参入であり、先行する他社より不利な立場であることも確かだ。

 なぜ、そうしたタイミングで日本市場への参入を判断するに至ったのか。山本氏はその理由として、日本のフードデリバリー市場は黎明(れいめい)期にあり、「長期的に見れば黎明期での参入時期は大きな差にならない」ためだと答えている。現状のフードデリバリー市場は、外食や内食など食に関する他の産業と比べまだ規模が非常に小さいことから、このタイミングで参入しても遅くはないとの判断が働いたようだ。

 とはいえ、既に先行する事業者が多く存在することも確かなので、ドアダッシュでは参入に当たって他社とは異なる施策で日本市場攻略を進めている。その1つが地方からのサービス展開だ。同社は参入に当たって宮城県仙台市からサービスを始めており、その後宮城県の他のエリアや、岡山県、埼玉県、そして2021年11月には北海道札幌市と、地方都市を主体にエリア拡大を図っている。

ドアダッシュは地方都市からサービスを展開しており、宮城県から岡山県、埼玉県、北海道へと徐々にサービスエリアを広げている
ドアダッシュは地方都市からサービスを展開しており、宮城県から岡山県、埼玉県、北海道へと徐々にサービスエリアを広げている
(出所:DoorDash Japan)
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 山本氏によると、ドアダッシュが米国で成功した要因の1つにエリアカバーの広さがあるとのこと。そうしたことから国内でも大都市に限らず、他のフードデリバリーサービスが展開していない地方をカバーすることで利用を広げる狙いがあるという。「人口が5万、10万といった都市はデリバリーサービスのカバーが高くない。そうしたところを強化していきたい」と山本氏は話している。

 そこで気になるのがギグワーカーの確保だ。ギグワーカーとは、オンラインで単発の仕事を請け負う労働者のこと。多くのフードデリバリーサービスはギグワーカーを配達員として起用しているが、都市規模が小さいとギグワーカーのなり手自体が少ないという課題が顕在化すると予想される。

 この点について山本氏は、「少なくとも人口が5〜7万人もあれば一定の配達員が集まることは確認できていて、1日の配達員が3〜4人でもエコシステムが回っている」と回答。継続的なサービス展開には工夫も求められるかもしれないが、必ずしも多数のギグワーカーを確保する必要はないと見ているようだ。