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 米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)傘下でオーディオブックの配信サービス「Audible」を運営する米Audible(オーディブル)は2022年1月26日、日本向けの会員プランをサブスクリプション型の“聴き放題”サービスへと完全移行すると発表した。ポッドキャストのみが聴き放題だった従来の会員プランから大幅なビジネス転換を図ったのにはどのような理由があるのだろうか。

月額1500円で12万超のコンテンツが聴き放題に

 アマゾン・ドット・コム傘下でオーディオブック配信サービスを手掛けるAudibleは、2015年に日本でサービスを開始して以降、サービス拡充を図るとともに会員数を伸ばしてきている。とりわけコロナ禍以降は巣籠もり需要を獲得する形で契約を一層伸ばしている。従来の主要ターゲットであった自己啓発書の利用が目的の男性ビジネスマン層から、小説やポッドキャストなどを楽しむ女性や若い世代などへと利用が広がっているようだ。

 そのAudibleが2022年1月26日に実施した戦略発表会で、サービスの大幅な転換を図ることを打ち出した。それは完全な“聴き放題”への移行である。Audibleのサービスではこれまで、月額1500円の会員プランを契約するとポッドキャストは聴き放題になるものの、オーディオブックを聴くには毎月1つもらえるコインを消費して1冊分を購入するか、あるいは別途料金を支払って購入する必要があり、限定的なサブスクリプション型サービスとなっていた。

 だが2022年1月27日にAudibleはコイン制を終了、会員プランの月額料金は1500円のまま、ポッドキャストだけでなくオーディオブックを合計した12万以上の作品が聴き放題という、完全なサブスクリプション型サービスへと移行したのである。権利の問題もあって、聴き放題対象作品のうち日本語コンテンツは95%とのことだが、今後権利関係をクリアし、聴き放題の対象を100%にしたいとしている。

オーディオブックの視聴にはコイン制を採用してきたAudibleだが、2022年1月27日からはそれらも聴き放題の対象となり、完全なサブスクリプション型サービスへ移行している。写真は2022年1月26日に実施された「Amazonオーディブル 戦略発表会 2022」より(筆者撮影)
オーディオブックの視聴にはコイン制を採用してきたAudibleだが、2022年1月27日からはそれらも聴き放題の対象となり、完全なサブスクリプション型サービスへ移行している。写真は2022年1月26日に実施された「Amazonオーディブル 戦略発表会 2022」より(筆者撮影)
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 またオーディオブックのサブスクリプション化に合わせる形で作品の拡充も図っており、新たに「騎士団長殺し」「海辺のカフカ」など作家の村上春樹氏の10作品を、有名俳優を起用して日本語版のオーディオブックとして制作するプロジェクトを開始すると発表。他にも複数の出版社と協力し、オーディオブック先行作品の配信などに取り組むとしている。

 同時にポッドキャストやオリジナル作品の配信強化も打ち出しており、人気コミック「The Sandman」のオーディオ作品の日本語版や、俳優の杏さんによるオリジナル番組「Journey to the Origin with Anne」の配信などが発表されている。完全聴き放題化に合わせてサービス全体でコンテンツ強化を図ろうとしている様子を見て取ることができるだろう。