ソニーは2022年2月16日、新しいコンセプトのワイヤレスイヤホン「LinkBuds(リンクバッズ)」を発表した。耳に挿入する部分に穴が開いており、イヤホンからの音と周囲の音を同時に聞けるのが特徴だ。それを生かして米Niantic(ナイアンティック)や米Microsoft(マイクロソフト)などと連携し、音のAR(拡張現実)を実現するヒアラブルデバイスとしての取り組みも打ち出している。ただ、発表内容からはヒアラブルデバイスとして展開することに、ソニーが慎重になっている様子も見られた。なぜだろうか。
音楽を楽しみながら周囲の音も聞けるイヤホン
音楽を聴くイヤホンといえばかつては有線のものが当たり前だったが、ここ数年のうちにワイヤレスイヤホンの種類が増え、急速に低価格化が進んだこともあってハイピッチで普及が進んでいるようだ。それに合わせて様々な企業がワイヤレスイヤホンを積極投入しているが、中でも最近注目されたのがソニーのLinkBudsである。
既に多くのワイヤレスイヤホンを投入し、「WF-1000XM4」などヒットモデルも出ているソニーだが、LinkBudsは従来のワイヤレスイヤホンと明らかに異なる特徴を持つ。それはイヤホンに穴が開いており、耳を塞がない構造であることだ。
LinkBudsはリング型のドライバーユニットを搭載、耳に装着する部分はリング状の穴が開いているものの、高音質で音楽を楽しめるという。穴が開いているのは周囲の音を聞くためで、イヤホンからの音と外からの音を同時に聞ける点が大きな特徴だとしている。
イヤホンの内外の音を同時に聞くことができるメリットは意外と大きい。音楽を聴きながら会話や電話もできるし、実用的な用途であれば会社でビデオ会議をしながら、そばにいるスタッフと話すこともできる。実際ソニーでも、LinkBudsのコンセプトを「オンラインとリアルをつなぐ常時装着型サウンドゲートウェイ」として、通常のイヤホンとは大きく異なる製品であることを打ち出していた。
そしてLinkBudsでソニーが狙うのは、10~20代くらいのいわゆる「Z世代」であるようだ。そうした世代が音楽配信サービスを使うのは、他のことをしながら音楽などを聴く「ながら聴きに便利」だからだという。複数のことを同時にこなすマルチタスク的なスタイルが若い世代を中心に広まっていることが製品開発の背景にあるとしている。