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 IoT向け通信プラットフォームなどを手掛けるソラコムは2022年5月18日、ネットワークカメラなどのIoT機器を手掛けるアトムテックと資本業務提携をすると発表。それに伴い初期費用2980円、月額990円から利用できるクラウドカメラサービス「ソラカメ」の提供を開始したが、その狙いはどこにあるのだろうか。

低価格の「ATOM Cam」にソラコムが着目

 MVNOとしてIoT向け通信サービスを提供しているソラコムは、2017年にKDDIの子会社となって以降も積極的にサービス拡充を進め、現在では多くのIoT機器に採用されている。そのソラコムが2022年5月18日、新たに打ち出したのがアトムテックとの資本業務提携である。

ソラコムは2022年5月18日、アトムテックとの資本業務提携を発表。ソラコムのIoTの知見と、ハードに強みを持つアトムテックの知見を生かしたソリューションを提供するとしている。写真は同日に実施されたソラコムの記者発表会より(筆者撮影)
ソラコムは2022年5月18日、アトムテックとの資本業務提携を発表。ソラコムのIoTの知見と、ハードに強みを持つアトムテックの知見を生かしたソリューションを提供するとしている。写真は同日に実施されたソラコムの記者発表会より(筆者撮影)
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 アトムテックはIoT機器を手掛けるベンチャー企業で、主力製品は見守り・監視用途などに用いるネットワークカメラ「ATOM Cam」シリーズである。ATOM Camシリーズは現行モデルの「ATOM Cam 2」で2980円、上位モデルの「ATOM Cam Swing」で4280円と非常に低価格ながら、夜間撮影に対応していたり、防水性能を備えていたりするなど高い性能を持っているのが特徴だ。

 そのATOM Camシリーズは低価格化のため販路をECサイトに限定しており、ターゲットも一般消費者としている。だが同社の代表取締役である青山純氏によると、実際に販売したところ消費者だけでなく法人の利用も少なからずあり、店舗の商品や従業員の監視用途などに用いられることが多かったという。

アトムテックのネットワークカメラ「ATOM Cam 2」は、2980円という低価格ながら夜間撮影に対応するなど高い性能を備えている。写真は2022年5月18日のソラコム記者発表会より(筆者撮影)
アトムテックのネットワークカメラ「ATOM Cam 2」は、2980円という低価格ながら夜間撮影に対応するなど高い性能を備えている。写真は2022年5月18日のソラコム記者発表会より(筆者撮影)
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 一方で、ソラコムは基本的にIoT向けの通信やクラウドサービスなどの提供を主な事業としているが、最近ではデバイスをセットにしたソリューションにも力を入れている。その1つがデバイス側でAI処理をする「エッジAIカメラ」で、2019年には「S+ Camera」というデバイスを用いたエッジAIカメラのソリューションをβ版として提供開始。その後好評を得たことから、第2世代モデルの提供や、エッジAIのアルゴリズムの充実化などを図っているという。

 だがそれらのカメラは開発者向けということもあって値段が高く、手軽に導入するという点では課題があった。そうしたことからより低価格で提供できるカメラのソリューションを検討していたところ、ソラコム代表取締役社長の玉川憲氏がATOM Camを知り、低価格ながら高い性能を持つことに驚かされたことから、知人を通じて青山氏に接触。それが今回の出資へとつながったのだという。