多くの企業がメタバースに名乗りを上げる中、ソフトバンクと福岡ソフトバンクホークスは「福岡PayPayドーム」のメタバース化に向けた取り組みを報道陣に披露した。実際の球場を仮想空間に再現するだけでなく、球場の来場者に向けてもAR(拡張現実)で価値を提供するなど仮想・現実空間を連動させたメタバースを打ち出す。だが実空間のメタバース化にはメリットがある一方、普及に向けては課題もあるように感じる。
メタバースで仮想空間上でのスタジアム体験を
仮想空間内に入り込んで様々な行動やコミュニケーションをする「メタバース」。米Facebook(フェイスブック)が米Meta Platforms(メタ・プラットフォームズ)に改名し、取り組みを強化して以降、急速に注目を高めるようになった。実際、多くの企業などが参入を打ち出すなどして盛り上がりを見せつつあるようだ。
そのメタバースに関する新たな取り組みを打ち出した企業の1つがソフトバンクである。ソフトバンクは傘下でプロ野球チームを運営する福岡ソフトバンクホークスと、福岡県福岡市にある「福岡PayPayドーム」のメタバース化で協業すると2022年5月25日に発表している。
その取り組みの1つとなるのが、仮想空間上に福岡PayPayドームを再現し、スタジアム内を自由に探索できる「バーチャルPayPayドーム」の提供だ。アプリではなくWebブラウザーを使うことにより、スマートフォンやパソコンなど幅広いプラットフォームで利用できるという。内容としては3Dアバターやチャットを通じてコミュニケーションができるスタンダードなものとなっている。
ただ大きなポイントとなるのは、やはり実際のスタジアムやそこで開催される試合・イベントなどと連動していることだろう。試合中にはバーチャル空間上で試合映像を視聴できるだけでなく、コロナ禍前の応援スタイルだったゴム風船を飛ばすなどのアクションを取ることも可能だという。
また投手の投球をサーバー上で解析し、仮想空間上に準リアルタイムでボールの軌跡を再現する取り組みも実施している。将来的には福岡ソフトバンクホークスの試合をバーチャル空間上に再現することも検討しているといい、より仮想空間内で試合を楽しめる仕組みを強化していく方針のようだ。