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 大きな期待を集めているはずの企業での5G活用だが、なかなか進まない。一方、ここ最近企業での活用が進みつつあると感じるのが4Gである。ドローンやロボットなど、5Gの活用が期待される場面で4Gが活用される理由はどこにあるのだろうか。

ドローン向けに4Gの活用が本格化

 日本でのサービス開始から約2年がたった5G。コンシューマー向けとしては5G対応スマートフォンの急速な低価格化によって利用が広まりつつあるようだが、本命として期待されている企業の5G活用は進んでいるとは言い難い。

 実際、筆者もいくつかの見本市イベントでローカル5Gに関連する事業者に話を聞いているのだが、企業の5G活用は今もなお実証実験から先に進む様子が見られない印象だ。2022年夏には携帯電話各社が5Gの性能をフルに発揮できるスタンドアローン(SA)運用によるサービスをコンシューマー向けに提供するなど、SA運用の本格展開が進むと見られていることから、今後活用が広まることに期待したいところだ。

 だが実はその一方で、企業の5G活用に関する取材を進めていると、逆に4Gの活用のほうがむしろ注目を集めており、急拡大する兆しを見せつつある印象を受けている。その事例の1つがドローンだ。

 ドローンを人の見えない目視外の範囲で、なおかつ人がいる場所を飛行させる「レベル4」の解禁が近いとされていることから、ここ最近は目視外で飛行するドローンの管理・制御のためにモバイル通信を活用する取り組みが進められている。実際NTTドコモは2021年7月、KDDIは2022年2月よりドローン向けのモバイル通信サービス、それを活用したドローン制御システムやソリューションなどの提供を開始している。

 だがそうしたドローンの制御に用いるネットワークは5Gではなく4Gだ。既に人口カバー率99%を超えるなど、広範囲をカバーしていることが大きいようだ。4Gの利用を見越して4G通信機能を内蔵したドローンも登場しているという。

フランスのParrot(パロット)が開発した4G対応ドローン「ANAFI Ai」。4Gによる通信機能を内蔵しており、SIMを挿入して通信可能になるという。写真は2022年6月21日、「Japan Drone 2022」のNTTドコモブースにて筆者撮影
フランスのParrot(パロット)が開発した4G対応ドローン「ANAFI Ai」。4Gによる通信機能を内蔵しており、SIMを挿入して通信可能になるという。写真は2022年6月21日、「Japan Drone 2022」のNTTドコモブースにて筆者撮影
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