中国のNreal(エンリアル)は2022年8月24日に戦略発表会を実施した。同社はAR(拡張現実)を体感できる眼鏡型デバイス「Nreal Air」を世界に先駆けて日本で販売している。同社が日本市場に力を入れる理由と、そのことで生じる課題について、同発表会の内容から探ってみよう。
ARに対する開発者や消費者の関心が高い日本
2022年3月より販売されている、ARを体験できる眼鏡型デバイスであるNreal Airは、従来の同様のデバイスと比べコンパクトで装着しやすいこともあってIT先進層から人気を集めている。そのNreal Airを提供するエンリアルは中国の企業なのだが、Nreal Airは日本で最初に販売を開始する一方、中国での販売は2022年8月からとするなど、日本市場にかなり力を入れている様子がうかがえる。
中国メーカー製のコンシューマー向けIT関連デバイスは、まず中国市場に投入した後、世界各国に展開する傾向が強い。それだけに、なぜエンリアルが日本市場を優先して市場開拓を進めているのか、というのは疑問を抱くところだ。
そうした中、同社は2022年8月24日に日本で戦略発表会を開催、エンリアルの副社長である呂正民氏から、同社のAR戦略や日本市場に力を入れる理由などについて説明があった。エンリアルが設立されたのは2017年で、最初の製品「NrealLight」を発表したのは2019年だが、同年には初となる海外連絡事務所を日本に設立している。
その理由について呂氏は、日本での開発者の支持が大きかったことを理由に挙げている。同氏によると、エンリアルが世界各国のARサービス開発者を支援すべく開発者向けキットを提供した際、日本の開発者から米国に並ぶ規模の申し込みがあり、開発者が積極的にARのサービスやコンテンツの開発に取り組んでいる様子が見えたのだという。
それに加えて同社の調査でも、消費者のARに対する関心が高いことが分かったという。ARは新しい技術ということもあり市場をつくり上げるのが難しい状況にあるが、そのAR技術に対する関心が国全体で高い傾向にあることが市場性を示しており、日本市場に力を入れる理由の1つとなっているようだ。