NTTドコモは2022年9月28日、XR事業の推進に向け新会社「NTTコノキュー」を設立すると発表した。強みとするネットワークに加え、サービスやデバイスを一貫して提供し、昨今注目を集めるメタバースやデジタルツインなどの事業を本格的に推進していく方針を示した。だが事業を順調に拡大できるかは不透明な部分も多い。
グループの力を集結して「NTTコノキュー」を設立
ここ最近、メタバースに対する関心の高まりで再び脚光を浴びるようになった、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などの総称である「XR」と呼ばれる技術。そのXRに関連する取り組みを急拡大しているのがNTTドコモだ。
実際同社は2022年3月31日に、バーチャル空間上でコミュニケーションなどができるメタバースのプラットフォーム「XR World」の提供を開始。さらに2022年7月14日には様々なARコンテンツを利用できるサービスプラットフォーム「XR City」を提供するなど、相次いで大きな動きを見せている。
そのNTTドコモが2022年9月28日、XRに関してより大きな動きを見せている。それがXR事業推進のための子会社「NTTコノキュー」の設立を発表したことだ。同社はNTTグループ各社のXR事業の譲渡を受け、NTTグループ全体でXR関連の事業を担うこととなるようだ。同社の設立はNTTグループ全体でXR事業に力を入れる狙いが大きいといえる。
そうしたことからNTTコノキューが手掛ける事業の幅は広く、XR WorldやXR Cityなどのサービス・コンテンツだけでなく、それを利用するためのデバイスの開発も独自で進めているという。それにNTTグループが得意とする5Gなどのネットワークを組み合わせ、デバイスからサービスまで一気通貫で提供する体制を整えることでXRの利用を拡大したい狙いがあるようだ。
またNTTコノキューは企業としての規模も大きく、当初600億円もの資産規模、かつ200名体制での事業展開を予定している。アーリーステージのビジネスということもあり事業の柔軟性を高めるため、あえて独立した子会社を設立するに至ったとしているが、当初からこれだけの規模で事業を展開する様子から、XR事業に対するNTTグループの期待の高さを見て取ることができる。