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 2022年10月18日から4日間にわたって開かれた、IT・エレクトロニクス関連の展示会「CEATEC 2022」。3年ぶりにリアルでの展示が実施された今回のCEATECからは、各社がメタバースなど最近注目されている技術に積極的に取り組む様子を見て取ることができた。その内容から政府が掲げる「Society 5.0」の実現に向け、何が不足しているのかも見えてくる。

3年ぶりにリアル展示が復活したCEATEC

 コロナ禍が落ち着きを見せつつあることで展示会イベントのリアル開催が復活してきているが、国内でITに関連する大きなイベント「CEATEC」も2019年以来3年ぶりに、千葉・幕張メッセで開催された。

 今回のCEATECはリアルでの展示に加え、カンファレンスイベントはオンラインでの開催となっていることから規模自体はやや縮小しており、それに伴い出展社数も2019年と比べれば減少していたようだ。だがそれでも実際にモノを見ることができる大規模な展示会イベントの復活とあって、国内の大手メーカーから海外企業、スタートアップに至るまで幅広い企業が出展していた。

コロナ禍でオンライン開催が続いた「CEATEC」も、2022年は一部を除いてオフラインでの開催となった。写真は2022年10月17日、「CEATEC 2022」会場にて筆者撮影
コロナ禍でオンライン開催が続いた「CEATEC」も、2022年は一部を除いてオフラインでの開催となった。写真は2022年10月17日、「CEATEC 2022」会場にて筆者撮影
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 国内企業の動向に応じてイベントの方向性が何度か変化しているCEATECだが、現在は日本政府が提唱する「Society 5.0」の実現に向けた技術に関する展示会と位置付けられている。これは現実空間と仮想空間を高度に融合させ経済発展と社会課題解決を両立するというもの。今回のCEATECでは、現在提供されているコンシューマー向け製品よりむしろ、Society 5.0の実現に向け各社が研究開発に取り組んでいる新技術の展示が主となっていたようだ。

 中でも今回は、以前本連載でも触れた「METAVERSE EXPO JAPAN 2022」の一般展示がCEATEC内で大規模ブースを設けて実施されており、昨今高い関心を集めているメタバースに関連する技術の展示が注目された印象を受ける。とはいえ各社の展示はメタバース一色というわけではなく、自動車やIoTデバイス、さらには企業向けソリューションに至るまで、かなり多岐にわたっていた。

 筆者が取材したのは開催前日の2022年10月17日に実施された報道関係者向けプレビューのみで、内容を見ることができたのは展示の準備が整っている大手企業のブースが主だった。このためCEATECの全体像を捉えられたわけではないのだが、それでもイベントの内容と各社の展示から、Society 5.0の実現に向け必要とされている要素を見て取ることはできた。