米Snap(スナップ)が提供する写真や映像を主体としたコミュニケーションサービス「Snapchat」について、日本での事業強化を打ち出すべく2022年11月8日に記者向けイベントが開催された。利用促進に向けたプロモーションの強化に加え、開発中のAR(拡張現実)デバイス「Spectacles」を展示し、ARプラットフォームとしての強化もアピールしていたが、日本でSnapchatが支持を得るには課題も少なからずありそうだ。
「ソーシャル疲れ」しないコミュニケーションをアピール
日本でも一定の知名度があるスマートフォンアプリ「Snapchat」。もともとは写真や動画などを軸としたソーシャルメディアだ。投稿した写真などが一定時間で消える点が最大の特徴となっており、「Instagram」の「ストーリーズ」機能など多くのフォロワーも生み出したことで知られている。
現在も欧米を中心として10代から20代前半までの若い世代から支持を得ているSnapchatだが、日本ではどちらかといえば写真加工アプリとしてのイメージが強い。スナップはAR技術にも力を入れており、AR技術を用いて顔の動きに合わせてリアルな加工を施せる多数のフィルターを用意。同様の加工ができるアプリ「SNOW」などと同時期に人気を集めたこともあり、写真加工アプリとして認知されていることが多いようだ。
だがそれゆえに、日本でSnapchatがソーシャルメディアであるとあまり認知されていないのも事実である。そうしたことからここ最近、スナップは日本市場の開拓に乗り出すようになってきており、2022年3月には日本オフィスを設立、日本の大学生などとコミュニケーションを図りながら事業拡大に向けた取り組みを進めてきたという。
そして2022年11月8日には、「Snapchat in Japan 2022 ~ソーシャルメディアの処方箋~」と題した記者向けイベントを開催。日本ではあまり知られていないSnapchatのコミュニケーションに関する取り組みを説明し、アピールするに至っている。
Snap Japan代表の長谷川倫也氏によると、Snapchatは投稿した写真が消える、送りたい人にだけ写真を送るなどの特徴から、仲の良い人たち同士によって素の自分の姿を投稿でき、利用者にプレッシャーのかからないコミュニケーションツールだという。Instagramや「TikTok」など、多くのソーシャルメディアサービスは投稿した内容が広い範囲に伝わることから、自身を演出する必要があり「ソーシャル疲れ」を起こしやすいが、Snapchatは利用者がソーシャル疲れを起こさずハッピーになるプラットフォームだと主張している。
ただそうしたSnapchatの特徴が認知されていないことから、同社では日本で初めて、動画によるプロモーションを展開するという。それらの動画ではSnapchatで写真や映像を毎日送り合ってコミュニケーションする様子や、毎日投稿し合っていることを示す「ストリーク」機能で、仲の良い人と深くつながれる様子などが示されていた。