米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)が音声アシスタント「Alexa(アレクサ)」などを担当するデバイス&サービス部門のリストラを打ち出したことが注目されている。LINE社の音声アシスタント「CLOVA」のデバイス販売やサービスの終了もあって音声アシスタントの先行きに不透明感が漂っているが、時代の寵児(ちょうじ)として注目された音声アシスタントのビジネスは、今後どのような方向に向かうのだろうか。
Alexaだけでない音声アシスタントの不安要素
景気失速の影響などを受け、これまで拡大を続けてきた米国のIT大手がここ最近相次いで大規模なリストラを打ち出し話題となっている。中には企業買収による方針変更で大規模なリストラが実施された米Twitter(ツイッター)のような事例もあるが、リストラの多くは景気失速によるところが大きいようだ。
中でも注目されたのはアマゾン・ドット・コムだ。同社は米国時間の2022年11月3日に新規採用の凍結を発表したが、それに続いて2022年11月17日にはデバイス&サービス部門の大規模なリストラを発表している。この部門は音声アシスタントの「Alexa」のほか、スマートスピーカー「Echo」シリーズや電子書籍端末「Kindle」などのハードウエアを担当する部門で、消費者に近い分野を担っているだけにその影響を危惧する声は少なくないようだ。
とりわけ関心が寄せられているのがAlexaの今後だ。Alexaをはじめとした音声アシスタントと、それを利用する主要なデバイスとなるスマートスピーカーは、2017年ごろに日本で相次いで製品が投入され人気を集めるなどもてはやされたが、ここ最近は活発な動きがみられず、国内に目を向ければ撤退の動きも出てきている。
実際、国内にいち早くスマートスピーカー「WAVE」を導入して音声アシスタントの先陣を切ったLINE社の「CLOVA」は、2022年10月26日にスマートスピーカー製品の販売と、CLOVAで利用できる音声アシスタントサービス「CLOVA Assistant」を終了させると発表。2023年3月30日以降、CLOVA対応スマートスピーカーはBluetoothスピーカーとしてしか利用できなくなるという。
LINE社はここ数年、コンシューマー向けとしてのCLOVAの活用にあまり力を入れなくなっており、製品販売やサービスを終了させること自体に大きな驚きがあったわけではない。だがそこにアマゾン・ドット・コムのリストラというニュースが加わることで、音声アシスタントの今後に対する不安が高まっていることは確かだ。