ソニーは2022年11月29日、スマートフォンに接続して利用できる小型のモーションキャプチャー「mocopi(モコピ)」の発売を発表した。昨今の「VTuber」人気やメタバースへの関心により、仮想空間上で体の動きを手軽に再現できるmocopiはまさに時流に乗った製品といえるが、一方で想定するターゲットと仕様のミスマッチが気になる部分もある。ソニーの狙いはどこにあるのだろうか。
6つのデバイスだけで体の動きを取得
2022年11月29日、ソニーからmocopiというデバイスが発表され、発表後から一時はTwitterのトレンドにも入るなどして話題となったようだ。
mocopiをひと言で表せば、人物などの動きをデータ化してCGなどに反映させる「モーションキャプチャー」と呼ばれるものとなる。CGを活用した映画のメイキング映像などで、体に多数のセンサーを付けてキャラクターの動きを取得している様子を見たことがある人も多いと思うが、mocopiはそれをより手軽な環境で実現する。
そうしたモーションキャプチャーの多くはリアルな動きを取得するため体に多数のセンサーを取り付ける必要があるため、一般ユーザーが手軽に利用するのは難しい。だがmocopiは500円玉くらいのサイズのセンサーを頭の後ろと腰、そして両手首と両足首の計6カ所に取り付けるだけでよく、利用のハードルはかなり低い。
しかもmocopiはBluetoothでスマートフォンに接続し、専用アプリを使うことでモーションデータを取得する仕組みだ。スマートフォンとmocopiさえあれば利用できるので広いスタジオを用意する必要はない。狭い部屋でも使えるし、もちろん外での利用も可能だ。
取得したモーションデータをアバターに反映させ、スマートフォン上で動画として録画できるのはもちろんだが、他のデバイスにモーションデータをリアルタイムに送ることも可能。モーションデータを活用した映像作成や、「VRChat」のようなVR(仮想現実)空間でコミュニケーションするサービスなどにもmocopiのデータを活用できるという。
一方で気になるのは、6つのセンサーだけで人の動きを検出できるのかという点だ。センサーを付けていない関節などの動きはどうやって検出しているのかが気になるところだが、アプリ側でAI技術を用いることで補完し、全身の動きを再現しているのだという。仕組み上、動きを正しく認識するには基本的に足を地面に付けている必要があるなど弱点もないわけではないが、大掛かりな設備が必要だったモーションキャプチャーを手軽なものにするデバイスであることは確かだ。