KDDI総合研究所(KDDI総研)と情報・システム研究機構 国立極地研究所(極地研)は2022年12月15日、南極の昭和基地から8Kで映像をリアルタイム伝送する実証実験の成果を披露した。最大7Mbpsほどの低速な衛星通信を用いて8K映像を伝送するのに、KDDI総合研究所が持つ映像圧縮技術が大きく貢献しているという。そうした映像圧縮技術は5Gなど高度化が進む通信にとっても重要な存在となりつつあるようだ。
衛星通信の細い回線で8Kの映像伝送を実現
米Space Exploration Technologies(スペースX)の「Starlink」など低軌道衛星を用いた衛星通信サービスの登場で、衛星通信でも高速大容量通信を実現できるようになりつつある。だが低軌道衛星の利用はまだ始まったばかりで広く普及しているわけではなく、衛星通信の主流は現在も、大容量通信が難しい静止軌道衛星を利用したものである。
その静止軌道衛星の通信を用いて、8Kという非常に高精細の映像を伝送しようという試みが進められている。それはKDDI総合研究所と極地研による実証実験だ。両者は南極の昭和基地と極地研の立川キャンパスを結ぶ衛星通信を用いて、世界で初めて南極域での8Kリアルタイム映像配信に成功したと発表している。
映像伝送にはKDDI総合研究所が開発した、8Kのリアルタイム映像伝送が可能な遠隔作業支援システム「VistaFinder Mx」を用い、8K映像の送信には市販のスマートフォン(AQUOS R5G)を使った。受信する側のパソコンも一般的なゲーミングPCと同程度の性能で、特別な機材を用いることなく南極からの8K映像伝送を実現しているのがポイントの1つになるという。
そしてもう1つは、衛星通信を用いて8K映像をリアルタイムに伝送していることだ。従来、南極からの映像伝送はHDTV(1920×1080)画質が一般的で、8Kとなればその16倍となる画素数(7680×4320)をリアルタイムで伝送する必要がある。
だが通信に用いられているのはインテルサットの静止軌道衛星である。実証実験ではその回線をフルに用いているというが、それでも通信速度は最大で7Mbps程度。8K映像を伝送するのは困難にみえるが、そこで重要なポイントとなるのが映像圧縮技術だ。