NTTドコモは2023年3月6日、4月12日より映像配信サービスの「dTV」をリニューアルし、新たな映像配信サービス「Lemino」として展開することを発表した。海外勢を中心に多くのサービスがしのぎを削る映像配信サービスの中にあって、LeminoへのリニューアルでNTTドコモは何を狙おうとしているのだろうか。
有料サービスはほぼ倍額も無料サービスが追加
春の新生活シーズンに合わせてか、ここ最近携帯各社によるサービス関連の発表が相次いでいるようだ。とりわけ目立っているのはメタバース関連のサービス強化に向けた動きで、KDDIが「αU」ブランドを打ち出し独自のメタバース関連サービスを展開することを発表したことがそのことを象徴している。
一方で、メタバースではなく映像関連のサービスに関して2023年3月6日に新たな発表をしたのがNTTドコモである。同社はサブスクリプション型の映像配信サービス「dTV」を展開しているが、2023年4月12日にそれをリニューアルし、新たな映像配信メディア「Lemino」を開始することを明らかにしたのである。
しかもLeminoは単に名前を変えただけでなく、サービス内容自体も大きく変化するようだ。中でも最大の変化といえるのは、有料サービスから無料・有料のハイブリッド型サービスになることで、実際Leminoでは広告付きの無料配信と、有料配信の「Leminoプレミアム」の2つが用意されるといえう。
無料配信されるのはLeminoオリジナル作品の一部などのほか、注目度の高いスポーツの試合や音楽ライブなどが対象になるとのこと。dTVでは2022年12月にプロボクサーの井上尚弥選手の試合を配信した際、視聴者の急増を受け急きょ無料配信し混乱を招いた経緯があるが、Leminoではそうした多くの視聴者が集まるライブ配信などを、最初から無料で実施する方針のようだ。
一方のLeminoプレミアムで配信されるのは、オリジナル作品や韓流ドラマ、邦画、アニメなど約18万本のコンテンツになるとのこと。有料で見放題という点は従来のdTVと変わらないのだが、配信される作品はおよそ倍に増えているといえう。
だが料金も月額990円と、dTVの料金(月額550円)から倍近くアップしているのが気になる。NTTドコモ側の説明によると、その要因は配信するコンテンツの数を大きく増やしたことや、オリジナル作品などの強化などがあるようだが、無料で利用できる仕組みを新たに加えたのには料金高額化の不満を緩和する狙いもあるといえそうだ。