中国Anker(アンカー)は、ご存じのように頻繁に新製品を投入する、とても勢いのあるメーカーだ。充電器やモバイルバッテリーは、年に1回程度の頻度で新しい技術を盛り込んだ製品に切り替えている。2022年7月には「GaNPrime」という新しい技術を盛り込んだ製品群を発表した。
GaN(窒化ガリウム)は充電器などの電力系によく使われる半導体だ。充電器の半導体がSi(シリコン)からGaNに切り替わったことで、小型化が大きく進展した。Ankerも2018年にGaNの採用を発表し、2021年5月に「Anker GaN II」を発表。GaNPrimeはそれに続く新しい技術というわけだ。なお独自の充電システムも最新の「Power IQ 4.0」に向上させたという。
そこで今回はGaNPrimeを採用した充電器をレビューする。なお140Wに対応するケーブルも同時にリリースされたので紹介する。
サイズより効率重視のAnker 735 Charger
最初に「Anker 735 Charger」を紹介しよう。同社の公式サイトにおける価格は7990円(税込み)。GaNPrimeにより充電器がさらに小型化すると思っていたが、この製品は前モデル「Anker PowerPort III 3-Port 65W Pod」(6990円、同)とあまり変わらない。
名称 | 外形寸法 | 重量 |
---|---|---|
Anker 735 Charger | 66×38×29mm | 132g |
Anker PowerPort III 3-Port 65W Pod | 66×38×29mm | 130g |
ポートの構成も同じで、重量がわずかに異なるだけ。外観のプリントやデザインを変えただけなのではと勘違いしそうだ。しかしGaNPrimeとPower IQ 4.0の採用により、充電の効率が大きく異なる。
PowerPort III 3-Port 65W Podの場合、65Wで充電できるのは1ポート使用時のみ。2ポート利用時には使い方にもよるが45W+20Wなどとなる。
一方735 Chargerは、2ポートや3ポートの利用時でも出力が「最大65W」と表記されている。Ankerによると合計65Wを複数ポートへ最適に配分して充電するという。例えばスマホとパソコンを充電している際に、スマホの充電が終わると自動的に65Wすべてをパソコンに振り向けるようになるとみられる(状況に応じて出力は変化すると思われる)。従来は複数ポートに接続している状態だと45Wが最大だったので、大きく違う。効率よく分配するので、複数機器をより早く充電できるようになるという。