東京・神保町の建築専門書店「南洋堂書店」の関口奈央子氏が、「働き方」や「子育て」に関心のある建築関係者にお薦めの近刊3冊を紹介します。

 「浮世離れしている」と思われがちな私の職場だけれど、実はけっこう社会がよく見渡せる。例えば問い合わせや注文一つでも、取引先の組織のあり方が容易に想像できる。そういえば、最近その「組織の在り方」が大きく変わろうとしているらしい。

 「『働き方改革』で、労働環境は変わった?」と友人数人にアンケートをとってみた。「うちは何十年も前からやっていて、生産性は右肩上がり」と余裕しゃくしゃくなのは外資系企業に勤める友人のみで、昔気質の「ザ・日本企業」にいる友人は、混乱を極める社内の状況に戸惑いの声を上げ、もともとフレキシブルに働ける会社にいる友人でさえ「余計忙しくなった」と悲鳴を上げた。この混迷する「働き方改革」をうまく乗り越えなければ、日本の将来は危ない。今こそ、「働くこと」について考える3冊。

「ディテール 216 現代建具 自由自在」

「ディテール216 現代建具 自由自在」の表紙
「ディテール216 現代建具 自由自在」の表紙

 友人たちに働き方アンケートをとった際、「フレックスタイム」や「リモートワーク(テレワーク)」、「在宅」という言葉が並んだ。それを聞いた「ワークスタイルイノベーション部門」とやらに属している友人は、「『在宅』は、もう古いよ。カフェでも旅先でも仕事はできるんだから」と言う。困ったな、私の職場はスーツケースに入らない。そんな心配はともかく、時間と空間にとらわれない働き方が「働き方改革」の肝と知る。

 「コワーキングスペース」など「働く場」の多様化も加速しているし、「古い」と言われようが「在宅ワーカー」は増え続ける。でも最近はやりのオフィスデザインは開放的すぎると思うし、自宅にオフィススペースを新たに確保するのも大変そう。個々の机を「間仕切った」自習室のような場所が一番集中力が保てる、という人も多いだろう。

 本書「ディテール216 現代建具 自由自在」の特集では、簾戸・障子と組み合わせて生活のシーンに応じて使い分けることのできる木製の框戸や、イベント時に有効な公共施設の大型可動建具、デザインにこだわった点検扉など、様々なスケールと種類の「建具」のディテールを13件紹介する。「建具」は、空間の自由度を高めることができるすぐれモノ。仕事も空間もフレキシブルさが求められている今、「建具」の存在感は増していきそうだ。

編者:ディテール編集部
判形: A4判
ページ:121ページ
出版社:彰国社
発売:2018年4月
定価:本体2143円+税