今回紹介するSIMフリースマートフォンは、中国の華為技術(ファーウェイ)製「HUAWEI Mate 20 Pro」だ。人工知能(AI)専用のNPU(ニューラルネットワーク・プロセッシング・ユニット)を2つ内蔵する最新チップセット「HUAWEI Kirin 980」を搭載。さらに独ライカカメラ(Leica Camera)監修のトリプルレンズカメラを備える、フラッグシップモデルである。
筆者は2018年10月16日に英ロンドンで開かれた発表会を取材し、それ以降、ファーウェイから借りたサンプル機を使用している。11月30日に発売された日本向けのSIMフリーモデルも、主要なスペックはグローバルモデルと変わらない。メーカーの想定価格は12万830円(税込み)と高額だが、MVNO(仮想移動体通信事業者)からより安い価格で購入できる。
この機種が日本で販売され始めたころから、いわゆる「ファーウェイ問題」が連日のように報道されている。カナダでファーウェイのCFO(最高財務責任者)が逮捕され、米国や日本政府が中国メーカー製の通信機器を排除する方針を示した。現状ではコンシューマー向けのスマホやタブレットなどの取り扱いに関する報道はないが、今後の状況は見守るべきだろう。そうしたさなかではあるが、今回のレビューでは純粋に端末の使い勝手をチェックする。
超広角撮影が便利、ライカ監修のトリプルカメラ
Mate 20 Proの最大の特徴は、ライカと共同開発したトリプルカメラだ。2018年6月にNTTドコモから発売された「HUAWEI P20 Pro」もライカのトリプルカメラを搭載しているが、両モデルは3つのカメラの組み合わせが異なる。
P20 Proは、約4000万画素(カラー)+約2000万画素(モノクロ)+約800万画素(カラー)の望遠カメラという組み合わせで、カラー+モノクロの画像処理によって高精細な描写を実現することをセールスポイントとしていた。
一方、今回紹介するMate 20 Proの3つのカメラは全てカラーセンサーで、約4000万画素(広角)+約2000万画素(超広角)+約800万画素(望遠)の組み合わせになっている。
注目すべきは、新しく追加された超広角カメラ。筆者が実際に使っているなかで、最も気に入っている機能である。焦点距離は35ミリフィルム換算で16ミリ。これは、一般的なコンパクトデジカメでは不可能な、広い画角で撮影できることを意味する。もしレンズ交換式の一眼レフでこの画角のレンズを買うにしても、相当な高額になってしまう。
この超広角カメラは「大きな建物を撮影したいが、フレームの枠内に収めるため、自分が後ろには下がれない」といった場面で役立つ。遠近感が強調される超広角レンズの特徴を生かして、実際よりも広く写すことも可能だ。P20 Proは光学3倍ズームで撮影できるメリットがあったが、Mate 20 Proには、さらに超広角でも撮れるという魅力が追加された。