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 日経アーキテクチュアの最新号に掲載した建築物をピックアップ。今号の1枚は、浅田美浩さんが撮影した「海南市新庁舎」です。「建築プロジェクトデータベース」(日経 xTECH有料会員サービス)では、雑誌の発行と連動して最新の建築情報を更新。概要データや写真・図面などを見ることができます。

新庁舎の正面に見える増築部分が新しい庁舎の顔となる。2階の窓越しに見える木格子には、地場の紀州材を用いた(撮影:浅田 美浩)
新庁舎の正面に見える増築部分が新しい庁舎の顔となる。2階の窓越しに見える木格子には、地場の紀州材を用いた(撮影:浅田 美浩)
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(日経アーキテクチュア3月8日号フォーカス建築から)

 高台の既存事務所ビルをコンバージョンした新市庁舎が完成した。アウトフレームによって内部空間に影響を与えず補強し、さらに不足分を増築。既存棟と増築棟をアトリウムでつなぎ、一体感を生んだ。

 和歌山県の北部沿岸部に位置する海南市は、津波被害を避けるために庁舎を高台へ移転した。1996年竣工の事務所ビルを取得し、改修・増築することで、安全な防災拠点の実現を早めた。築50年超の旧庁舎は解体し、跡地に市民交流を目的とした施設を新築する予定だ。

 公募型プロポーザルで設計者に選定されたのは日建設計。実は、既存ビルの設計者も日建設計だ。同社は、アウトフレームでの補強を提案した。既存建物の内部空間に影響が少なく、使い方の自由度が高いと判断したからだ。

 さらに、外観を変えて見せることで新しい顔づくりにもつながる。日射遮蔽の手段がない既存建物に庇の役割を付加する意味からも、アウトフレームが最適だった。アウトフレームで補強した既存棟に2階建ての増築棟を接続し、増築棟の北側に長く水平に延びるキャノピーが来庁者を迎え入れる。

 長手方向いっぱいに広がる1階市民ロビーに、市民サービスの窓口をすべて配置した。ロビーにアウトフレームの一部が現れているにもかかわらず、アトリウムの大きな屋根でつながる空間は、既存と増築の境界を感じさせない。市民から、明るい庁舎になったと喜ばれているという。

 設計を担当した日建設計設計部の渡辺豪秀シニアエキスパート技師長は、「既存棟と増築棟をうまく融合することが、この建築の鍵になると考え、ロビーの吹き抜け空間で一体化した」と語る。