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 日経アーキテクチュアの最新号に掲載した建築物をピックアップ。今号の1枚は、武藤聖一さんが撮影した「カタール国立図書館」です。「建築プロジェクトデータベース」(日経 xTECH有料会員サービス)では、雑誌の発行と連動して最新の建築情報を更新。概要データや写真・図面などを見ることができます。

カタール国立図書館の館内。中央部に向かって、段状に書棚が続く。中央部にあるのは地下の「遺産コレクション」で、ガラス越しに見下ろせる(写真:武藤 聖一)
カタール国立図書館の館内。中央部に向かって、段状に書棚が続く。中央部にあるのは地下の「遺産コレクション」で、ガラス越しに見下ろせる(写真:武藤 聖一)
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(日経アーキテクチュア5月24日号フォーカス建築から)

 ペルシャ湾に面した灼熱(しゃくねつ)の地に200万人ほどが居住する半島国家、カタール。原油や天然ガスなどの地下資源を経済の活力とし、市街地の開発が首都、ドーハを中心にダイナミックに進行している。

 ドーハの都心部から西に10㎞ほど離れた面積約14㎞2の広大な土地に、カタール財団が主導する「教育都市」がある。2003年、磯崎新氏のマスタープランで開発がスタートした。大学キャンパスや研究機関、図書館、数々の教育支援施設などを配置している。

 開発プロジェクトの要といえるのが、「カタール財団本部ビル」と「カタール国立図書館」だ。いずれもOMA(オランダ・ロッテルダム)が設計し、本部ビルは16年、図書館は17年11月にオープンした。教育都市に立つ建物のほとんどは低層で、カタール財団本部ビルだけが高さ57mの高層だ。ビルの屋上から都心部の高層ビル群を望むと、砂塵によってかすんで見えた。

 一方、教育都市の一翼を担うカタール国立図書館は高さ22mで、地下1階・地上2階建て。延べ面積は4万2000m2と、数千人が利用できるほどの巨大な広さを持つ。100万冊規模の膨大なコレクションの収蔵と展示を実現するために、図書館を設計したOMAの主宰者、レム・コールハース氏は次のように考えた。「全ての所蔵書籍を1つの空間で見られる建物とし、それをコンセプトの柱に据える」

 建物の形状は、2つの正方形のプレートを上下に引き離し、シェルの容器を造形するように折り畳んだような格好をしている。館内に入ると、プレートが傾斜した部分の内側が大きな階段状のテラスとなっており、300もの書棚が続く。

 館内の中心部には、「都市の広場」と称する三角形のスペースを設けた。広場からは、積み重なるようにして並ぶ書棚を一望でき、巨大なアリーナのようだ。書棚の間には、所々に階段を設け、広場から書棚にアクセスしやすいようにした。

 ひし形の大きな窓には、波打つガラス板を使用。日の光がガラスを通過すると、館内に拡散され、一部はアルミ製天井板に反射して館内のコア部分へ届くようにしている。柔らかい日差しが、読書をする人のための静かな空間を生み出している。