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 日経アーキテクチュアの最新号に掲載した建築物をピックアップ。今号の1枚は、吉田誠さんが撮影した「ナインアワーズ竹橋」です。「建築プロジェクトデータベース」(日経 xTECH有料会員サービス)では、雑誌の発行と連動して最新の建築情報を更新。概要データや写真・図面などを見ることができます。

「ナインアワーズ竹橋」の中庭から見上げる。写真右手、西側の既存ビル外壁に面してガラス張りの光庭を設けた。フロア構成は、1階がフロントとワークスペース、2~5階が男性専用フロア、6~8階が女性専用フロア。計129室を備える(写真:吉田 誠)
「ナインアワーズ竹橋」の中庭から見上げる。写真右手、西側の既存ビル外壁に面してガラス張りの光庭を設けた。フロア構成は、1階がフロントとワークスペース、2~5階が男性専用フロア、6~8階が女性専用フロア。計129室を備える(写真:吉田 誠)
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(日経アーキテクチュア6月14日号フォーカス建築から)

 8階までの全フロアを貫く光庭に面して、カプセルユニットが整然と並ぶ――。平田晃久建築設計事務所(東京都港区)が設計を手掛けた「ナインアワーズ竹橋」だ。東京・竹橋の皇居近くで、3月30日に開業した。間口約8m、奥行き約18.5mの細長い建物に129個のカプセルを収めた。事業主体はコスモスイニシアで、企画・運営をナインアワーズ(東京都港区)が担う。

 ナインアワーズは、高いデザイン性や品質を強みにしてきたカプセルホテルブランドだ。滞在型のホテルとは違い、施設内には基本的に、睡眠のためのカプセルと身支度のための水回りしかない。「都市の寝床」として「街とつながる」ことを重視している。

 こうしたコンセプトを基に、事業計画やプロダクト、サイン、内装などのデザイン計画を当初から一体のチームで磨いてきた体制も特徴だ。これまでに都内のほか、京都や成田空港、仙台などで計5店舗を展開している。それらは、内部空間に重点を置いて世界観をつくってきた。竹橋が既存店と違うのは、企画段階から建築家をチームに交えた点だ。

 平田晃久氏は、建築を介してコンセプトを表現するため、竹橋の街が皇居というボイド(空洞)に隣接する点に着目。都市の構造を敷地に写し取るデザインを提案した。

 ナインアワーズ竹橋におけるボイドは、建物西側を大きくえぐるようにして8層を貫く光庭。隣に立つ既存ビルの外壁と一体で完結する。各フロアは片廊下形式で、中庭側の壁面はガラス張り。ホテル内の様子は、中庭からはもちろん、ほかのフロアの廊下からも丸見えになる。「周囲の建物と同じようなスケール感を持つボイドに、カプセルが直接対峙する。カプセルと街がそのまま接続されたような関係をつくった」(平田氏)

 街とつながる仕掛けはプログラムにもある。皇居の周りを走るランナーの利用を想定し、ランニングステーションの機能を備えたことだ。今後、開業予定の浅草などでも、街に合わせた機能を加えていく。