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 時事通信が2019年1月に実施した世論調査(全国の18歳以上の男女2000人が対象)で、日常生活でよく使うのは「元号」か「西暦」かを聞いたところ、「元号」が54.9%で、「西暦」の32.6%を上回ったそうです。今年が平成何年なのか、いつも考えてしまう筆者は、この結果に少しびっくりするとともに、今回の特集を推し進めることに自信を持ちました。

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 日経アーキテクチュア2019年2月28日号の特集は、「検証 平成建築史 後編」です。平成の時代に本誌が報じた主要なニュースの意味を、2号連続で読み解く大特集の後編になります。

 日本経済新聞グループのメディアでは、年の表記を原則、西暦としており、筆者は日常、元号を使うことがほとんどありません。それでも、「元号が変わる」という報道を聞いたとき、すぐにこの特集をやろうと思い立ちました。それは元号そのものよりも、「バブル経済以降の30年間」という時代の区切りに大きな意味があるように思えたからです。

 個人的な話で恐縮ですが、筆者が大学を出て日経アーキテクチュアに配属されたのは、バブル最盛期の1990年(平成2年)でした。それからすぐにバブルが崩壊。「失われた10年」「失われた20年」ともいわれる低成長時代になります。2004年に人口が減少に転じ、08年にはリーマン・ショック、2011年には東日本大震災……と、社会人になる前には考えもしなかった状況に立ち向かうことになりました。

 平成を振り返って「失われた30年」と言われたりすると、自分が責められているような気持ちになります。おそらく現在50歳前後の読者の方は、平成という時代に筆者と似たネガティブ・イメージを持っているのではないでしょうか。

 そんな人に向けて、「イメージ」ではなく、「データ」と「証言」によって平成30年間の意味を示したい。それが仮にネガティブな答えであったにしても、その理由を深く考えることで前に進む原動力になるのではないか。少なくとも、意味のない30年ということはないはず……。そんな自分自身への問い掛けから企画した特集です。もちろん、それは、平成生まれを中心とする若い世代にとっても、次の時代に向けてのヒントになるのではないかと考えました。

 前号(2019年2月14日号)の前編では、平成前期(1989~98年)と中期(1999~2008年)を振り返り、今回は後期(2009年~19年)が対象です。様々な出来事があったこの10年ですが、深掘りするテーマはすぐに決まりました。東日本大震災の復興と新国立競技場を巡る問題です。

目次

 昭和から平成に変わったときには元号の意味など全く考えませんでしたが、今回の特集を通して、元号には「気持ちを切り替え、前に踏み出す」意味があるように思いました。調べてみると、歴史的に見て、元号とはそもそもそういうものでした。元号が天皇の即位と連動して変わる「一世一元」となったのは明治以降のこと。それ以前は、同じ天皇の時代でも、大地震や火災、疫病の流行などがあると、改元を行うことで災いを断ち切り、新しい世の中をつくることを示したそうです。

 なるほど、私が改元の話を聞いて今回の特集を思い立ったのも、ひょっとしたら日本人のDNAのしわざなのかもしれません。読者の皆さんもぜひ新しい世の中を切り開くヒントとして、この特集を読んでみてください。

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 そして本日から、特集の連動企画である「目利きが厳選!平成の10大建築」もスタートします。初回は下記をクリックして読んでみてください。

「平成の10大建築」先行公開、環境時代の先陣切ったあの空港

初回のこの建築、分かりますか?(写真:松村 芳治)
初回のこの建築、分かりますか?(写真:松村 芳治)
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