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 いきなり私事になりますが、次号(2019年12月12日号)から日経アーキテクチュアの編集長が佐々木大輔に代わります。私(宮沢洋)が編集長として指揮を執る最後の号、2019年11月28日号は、2大調査特集号としました。

 特集1は「事務所主宰者 200人の悩み」。

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 特集2は「採用したい 建材・設備メーカーランキング2019」です。

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 前者は、建築設計事務所主宰者200人に聞いた事務所運営の実態調査、後者はユーザー約4000人に聞いた建材・設備メーカーの信頼度・期待度調査です。

 これらの企画を自分が担当するラストの号に当てようと考えていたわけではありませんが、結果的に、自分らしいラインアップになったな、と思います。

 私が編集長に就任したのは2016年4月。その1年半後に、このコラムに「あえて『雑』を名乗る『雑誌』の強み」というタイトルの原稿を書いています。「雑誌に載せるべき記事とは何か」をかなり迷っていた時期だったのでしょう。その答えはいまだに見つけられてはいませんが、思いとしては今も大きくは変わっていないので、そのときに書いた原稿の一部を引用して、最後の回を締めたいと思います。

あえて「雑」を名乗る「雑誌」の強み

 「雑誌」という言葉は不思議な言葉です。「あなたは雑な人ですね」と言われて喜ぶ人はまずいないでしょう。そんなマイナスイメージの漂う言葉を冠に掲げているのですから。

 幕末の1867年(慶応3年)に、洋学者の柳河春三(やながわしゅんさん)が「magazine」の訳語を「雑誌」としたのが最初、というのが定説のようです。ちなみに「新聞」という言葉は、日本では雑誌よりも少し早く、1860年代前半から使われていました。

 「newspaper」がそのものずばり「新」であるのに対し、「magazine」に「雑」という言葉を当てたのは、どういう意図だったのか──。「雑」のそもそもの意味は「いろいろなものが入りまじっている状態」。そこから「整理されていない」というマイナスの意味が幅を利かせるようになったわけですが、「雑誌」という言葉を初めて使った洋学者はきっと、「過去も現在も未来も、いろいろなものが入りまじっているメディア」というポジティブな意味を持たせたかったのではないでしょうか。あくまで想像ではありますが……。

(中略)

 「過去も現在も未来も、いろいろなものが入りまじっているメディア」──。それが真価を発揮するためには、それぞれの記事が「信頼に足る」ものであり、かつ「整理され、的確に分析されている」ことが必要条件でしょう。これからも「雑」であり続けることを胸に刻み、執筆・編集に取り組んでいきたいと思います。

(以上、日経アーキテクチュア2017年1月26日号の「編集長の見どころ」から引用)

 「雑」であり続けることの1つとして企画した編集長絵日記、「建築日和」も今号でひとまずラストです。これまでの連載を一覧で見られるようにしたのでこちらをご覧ください。

(イラスト:宮沢 洋)
(イラスト:宮沢 洋)
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 メディアは編集長で変わります。だからこその編集長です。2020年代の日経アーキテクチュアがどう変わっていくのか。そもそも「雑誌」というスタイルを取り続けるのか。私もその変革を楽しみにしています!