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 日経アーキテクチュア2020年6月11日号は、住宅特集号。今回のタイトルは「コロナ後の省エネ住宅」としました。コロナ禍を受けて在宅勤務が急速に広がる中、住まいと健康の関係について人々の意識が高まっています。専門家へのインタビューなどを基に、省エネ・健康の観点から住宅の近未来像を探りました。

(写真:車田 保、資料:国土交通省)
(写真:車田 保、資料:国土交通省)
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 「新しい生活様式」が求められるコロナ後の社会。ニューノーマル(新常態)のキーワードの1つが「換気」です。住宅環境を研究する前真之・東京大学准教授は、住宅のプランニングの潮流が1室の大空間から個室化へと変わり、それに伴い換気計画の見直しが進むとみています。「換気設備を入れるだけではなく、家全体の温熱環境の質やエネルギー消費、建て主が望む暮らし方などを考慮し、設備がきちんと機能するようにしなければなりません」と前氏は語ります。

 建材・設備メーカーも、こうした変化にいち早く対応しています。YKK APは同社のウェブサイトに、窓開けの換気効果を分かりやすく示したシミュレーション動画を掲載しました。同社営業本部住宅事業推進部住宅商品企画部の山田司氏は、「これまで窓は、断熱性能など閉じた状態の機能が求められていた。今後は、開いた状態でいかに風を効率的に取り込むかという発想が必要になる。立地と窓の関係や窓の配置を考慮した家づくりが増えるだろう」と話します。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、「住宅の換気は十分なのか?」といった不安を持つ人は少なくありません。換気の重要性は広まったものの、どう行動すればいいのか。設計事務所や工務店、住宅会社などの住宅設計・施工に関わる実務者は、こうした建て主の不安に応える知識と説明力が必要になってきます。

 21年4月には建築物省エネ法に基づく説明義務制度が始まります。小規模住宅の設計において、省エネ基準適合に関する書面交付と説明を建築士に義務付ける制度です。新型コロナの影響も重なり、これからは一層、建築士の責任が増す時代になるでしょう。

 設計者は、建て主から省エネだけでなく換気計画などの説明を求められる場面が増えてくるかもしれません。そこで健康との関係性を含めてどう提案できるかが、ますます重要となってきます。今後の住宅設計は、建て主が求める新たなライフスタイルに寄り添いつつ、いかに根拠を持って分かりやすく、説明できるかがカギとなりそうです。

 特集では、説明義務制度のポイント解説や、設計事務所の「説明術」も併せて掲載しています。ぜひご一読ください。