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 日経アーキテクチュア2020年9月24日号は、住宅特集号。今回のテーマは「職住融合時代のニュープラン」、副題は「テレワークの常態化で迫られる、住まいの再構築」です。住宅設計者や住空間の専門家に取材し、コロナ禍で「仕事場化」する住宅ニーズの変化を追いかけました。テレワークの浸透によるオフィスの変化を描いた本誌20年7月23日号特集「オフィス・ニューノーマル」の続編として企画しました。

(資料:三菱地所レジデンス、パーソル総合研究所、取材を基に本誌が作成)
(資料:三菱地所レジデンス、パーソル総合研究所、取材を基に本誌が作成)
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 特集の前書きを引用します。

 「新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、当初は余儀なくされた自粛生活だが、時間がたつにつれ、むしろ率先してテレワークを選択する人や企業が増えてきた。しかし行動が変わっても、住まいを変えることは容易でない。プライベート利用に重きを置いた多くの現代住宅で、『働く』ことを許容するスペースは少なかった。これから求められる住宅は何か。住宅プランの進化は、既に始まっている」

 長期間のテレワーク実施によって、そのメリット・デメリットが見えてきました。「通勤時間を自分の時間に使えるようになった」「家族と過ごす時間が増えた」という好意的な声がある半面、「仕事とプライベートの切り替えが難しい」「仕事用品を置くスペースがない」「周りの音が気になって集中できない」といった不満の声も少なくありません。

 住まい手のニーズをくみ取り、空間の使い方を設計者がいかに提案していくか。長年、住空間を研究してきた積水ハウス住生活研究所の河崎由美子所長は、「テレワークの普及によって『家事』『仕事』『休息』を全て家でこなすことになる。家族全員がそれぞれストレスを感じない暮らし方を考えることが肝心だ」と指摘します。

 特集では、個人建て主のニーズを受け止めることが多いアトリエ事務所を対象として独自アンケート調査を実施しました。提案内容の変化などの現状を尋ねたところ、68社の約半数が「変化あり」と回答しました。変化の内容では、ワークスペース、洗面の配置、居場所づくり、外部空間とのつながりといったプランニングに関する要望が目立ちます。

間取りの他に性能面の要望も
間取りの他に性能面の要望も
「変化あり」とした回答の具体的な内容(重複回答)。プランニングに関する要望が多いが、換気・通風、温熱環境や耐震性など建物の基本性能に関する要望も出ている(資料:日経アーキテクチュア)
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 特集ではアトリエ事務所の取り組みの他、集合住宅における大手デベロッパーの対応なども紹介しています。また、ブルースタジオ専務取締役の大島芳彦氏、東京工業大学大学院教授の塚本由晴氏、東京大学大学院教授の千葉学氏にインタビューし、それぞれの視点で今後の住宅像を語ってもらいました。3人の話は、住宅のニューノーマルを考える上で示唆に富んだ内容です。

<住宅特集 目次>

職住融合時代のニュープラン
テレワークの常態化で迫られる、住まいの再構築

“職住ミックス”にかじ切る住宅市場
「仕事場化」で住宅ニーズに異変
 質が向上したはずの現代住宅に盲点
 ステイホームの衝撃に急対応する企業

設計者インタビュー1 大島芳彦氏(ブルースタジオ専務取締役)
家の機能を広げられる近所が必要

アトリエ事務所の挑戦
 ウィズコロナを見据えた提案
 独自アンケート アトリエ68社、コロナ禍の現状

設計者インタビュー2 塚本由晴氏(東京工業大学大学院教授)
「手入れ」できる家は退屈しない

設計者インタビュー3 千葉学氏(東京大学大学院教授)
家族間の「距離」の取り方に工夫を