全1668文字
PR

 新型コロナウイルスの感染拡大で、スポーツ観戦やライブなど多人数が集まるイベントは、中止や延期、あるいは感染対策を実施した上での限定的な開催を余儀なくされています。日経アーキテクチュア2020年12月10日号では、特集「コロナで急転! 『スポーツ建築』の針路」を組みました。アフターコロナの視点を交えつつ、スポーツ建築の未来を展望しました。

(写真:横浜DeNAベイスターズ、安川 千秋)
(写真:横浜DeNAベイスターズ、安川 千秋)
[画像のクリックで拡大表示]

 特集の冒頭では、大規模イベントの入場制限緩和に向け、横浜スタジアムのプロ野球公式戦で、神奈川県などが10月末から実施した技術実証についてリポートしています。高精細カメラによる映像解析や、二酸化炭素濃度の測定などで観客の行動を把握し、感染防止対策につなげるのが狙いです。横浜スタジアムの藤井謙宗社長は、「コロナ禍を経験した後の『新しい観戦スタイル』を探る。野球以外の屋内外のスポーツ、コンサートなどの娯楽にも知見を生かしてもらいたい」と話します。

 コロナ禍を経て、スタジアム・アリーナなどのスポーツ建築の在り方は、どのように変わるのでしょうか。特集の中で、ぜひご覧いただきたいのが、「スタジアム史 まるごと理解」です。追手門学院大学社会学部准教授の上林功氏と、日本政策投資銀行地域企画部の桂田隆行氏の監修で、2000年から20年間の国内外のスポーツ建築の潮流を4ページの年表でまとめました。

(写真:生田 将人、寺尾 豊、ロイター/アフロ、日経アーキテクチュア)
(写真:生田 将人、寺尾 豊、ロイター/アフロ、日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]

 近年は、スポーツ建築を人々が集う地域の街づくりの中核として位置付け、自治体と民間企業が連携して施設を整備する動きが活発になっています。稼動率向上や収益事業化のため、建築計画に関わる空間構成の手法や、都市・地域計画に関わる複合開発の手法も変化してきました。特集では未来への変化の兆しとして、20年1月に開業した秋田ノーザンゲートスクエア、20年7月にプロポーザルを実施した松本平広域公園陸上競技場の事例を取り上げています。

 コロナ禍によって集客施設でリアルにイベントを体験することが難しくなった今、「集まることの価値」が再認識されています。いかにして安全・安心を確保しながら、新しい観戦スタイルを形づくり、地域の活性化につなげていくか、建築実務者の知恵が求められています。

<特集 目次>

コロナで急転! 「スポーツ建築」の針路
観戦・運動体験から計画再考を