新型コロナウイルスの感染拡大に翻弄された2020年。今年の最終号となる日経アーキテクチュア20年12月24日号では、出来事と人物でこの1年を振り返りました。巻頭には恒例の「写真で見る10大ニュース2020」を掲載しています。
このニュースランキングは毎年、編集部全員の投票で決めています。1位は「コロナ禍で工事中断、五輪は延期 建築のニューノーマルを探る動きが続々」となりました。
- 1位 コロナ禍で工事中断、五輪は延期 建築のニューノーマルを探る動きが続々
- 2位 80人超の命奪った「令和2年7月豪雨」、水害対策が建築の重要テーマに
- 3位 ロボット開発で協業「鹿島・竹中・清水」、建設DXが加速
- 4位 渋谷に2つの巨大アーチが出現、宮下公園と銀座線渋谷駅がオープン
- 5位 プロジェクト続々、トヨタも目指すスマートシティー
- 6位 改正建築士法施行で受験者増
- 7位 進む大型・高層化、木材新事業も
- 8位 改正民法施行で変わった建築ビジネスのルール
- 9位 逆風化のホテル大量開業
- 10位 改修進まぬレオパレス施工不備問題、債務超過に転落も
東京五輪の開催で、華々しい1年となるはずだった20年に突如降りかかったコロナ・ショック。未曾有の事態により、五輪はあえなく延期となり、建築界は工事中断などの対応に追われました。建設市場には暗雲が漂い、景気悪化に対する懸念が強まっています。
こうした状況の中、21年は建築界にとって、コロナ・ショックからいかに回復軌道に乗せていくかが問われる「大変革」の年になりそうです。従来の常識にとらわれない発想の転換を迫られています。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は、産業や社会の構造、人々の意識や価値観に大きな影響を及ぼしています。コロナ禍をきっかけにテレワークやテレビ会議が急速に普及しました。IT化が遅れていた建設産業も例外ではなく、今後は否応なくデジタル化の大波にさらされるでしょう。都市部に人やモノを集めて機能を集約し、効率を高めることで成長を目指してきた都市や建築の在り方も、激変する可能性があります。
建築の未来をいかに描き、実現していくか。建築実務者には今、アフターコロナを見据えた提案力と、働き方の変化に対応したチーム力の強化が求められています。そのヒントとなるのが、今号の特集「編集部が選ぶ 10大建築人2021」で取り上げた建築人たちの取り組みでしょう。キーワードは「協働・連携」です。
総合1位の「アーキテクト・オブ・ザ・イヤー2021」の栄冠に輝いた青木淳氏をはじめ、各分野で活躍する10人の挑戦は、未来を切り開く勇気を与えてくれると思います。ぜひ本誌をご覧ください。
編集部が選ぶ 10大建築人2021
コロナ禍に腰を据え、次の5年を見定める
1位 青木淳氏(AS パートナー)
様々な協働で発想を広げる
2位 藤本壮介氏(藤本壮介建築設計事務所 代表取締役)
万博会場や超高層、近未来を描く
3位 村上陸太氏(竹中工務店 執行役員技術本部長)
ライバルとの連携で建築の楽しさ死守
4位 原田真宏氏(マウントフジアーキテクツスタジオ 共同主宰、芝浦工業大学 教授)、原田麻魚氏(マウントフジアーキテクツスタジオ 共同主宰)
意匠と技術を両立、唯一無二の建築
5位 田辺新一氏(早稲田大学 創造理工学部建築学科教授)
いち早く換気情報、コロナの拡大抑止
10大建築人の選び方
発想力で青木淳氏に栄冠
6位 笹川順平氏(日本財団 常務理事)
きれいなトイレでおもてなし
7位 中路星児氏(カルチュア・コンビニエンス・クラブ 戦略法務ユニット長ほか)
意匠登録に尽力、設計者の地位向上へ
8位 伊藤康敬氏(MEC Industry 取締役副社長 兼 三菱地所 関連事業推進室CLTユニット専任部長)
材料生産を効率化、「木」で地方再生
9位 渡辺健児氏(シンテグレート合同会社 代表社員(日本)/ディレクターほか)
BIMの助っ人、設計と施工つなぐ
10位 村山正道氏(立飛ホールディングス 代表取締役社長)
地域貢献が第一、大型開発を指揮
今後に期待のこの2人
山田紗子氏(山田紗子建築設計事務所 代表)、岩瀬諒子氏(岩瀬諒子設計事務所 主宰、京都大学 助教)
既成概念を脱し設計に新風