日経アーキテクチュア2021年1月28日号の特集は、毎年恒例の独自調査企画「プロジェクト予報」の21年版です。これから完成する建築物を総ざらいするもので、回答を寄せた88社の107プロジェクトを取り上げています。「ニューノーマル建築はこれだ!」と題して、最新事例を追いかけました。
ここ数年は集めたプロジェクト情報を「都市・地域」に分けて分析することが多かったのですが、今回は「建物用途」に着目しました。ウィズコロナ、アフターコロナの時代に、建築・都市はどのように変わるのか。21年以降に竣工する建築物から、変化の芽を探ろうというのが、企画の狙いです。
特集でインタビューした建築史家の五十嵐太郎・東北大学大学院教授は、アフターコロナをテーマとしたコンペ審査の体験を振り返り、非常に多かったのが「ビルディングタイプの再編成」を扱った内容だったと指摘。「コロナ禍で実空間の重要性が再認識された。地方でも東京でも、そこでしか経験できない空間が求められている。設計者の腕の見せどころだ」と語ります。
コロナ禍によって社会の底流にある価値観が変化。リモート化の加速など、人々の行動も変容する中、建築や都市の在り方も再考が迫られています。特集では、「オフィス」「住宅」「商業施設」「公共施設」「大規模開発」といったテーマに分け、プロジェクトを紹介しました。従来にない用途・機能の掛け合わせによる新しいタイプの建物が目立ちます。
プロジェクト予報2021
ニューノーマル建築はこれだ!
ビルディングタイプの再編成が始まる
オフィス×分散・移転
パソナ淡路島移転、脱東京の狙い
オフィス×拠点集中
小堀哲夫氏が描く未来のオフィス
沸騰! 都市木造
高さ20m級の空白地帯を攻めよ
住宅×多様性
ペット、2拠点……住まい方の再考
先導者が語る
職住の境界が溶け合う
商業施設×大規模複合
ダイナミックな「新型複合」に挑む
公共施設×公園活用
公園との一体利用に踏み込む
専門家に聞く
コロナ禍で建築・都市は変わるか
大規模開発×都市改造
街を変えるビッグプロジェクト11
詳しくは各記事をお読みいただきたいのですが、これからの建築のトレンドを把握するために、役立つ内容に仕上がったと思います。特集の最後には、注目プロジェクトを用途別に一覧でまとめました。記事と併せてご覧ください。