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 2021年は、建築・住宅を取り巻く法制度が大きく変わります。日経アーキテクチュア21年2月11日号特集「建築実務が変わる!法改正2021」では、実務やビジネスへの影響が大きい法改正をピックアップ。新ルールを徹底解説しつつ、建築界への影響を読み解きました。そのキーワードは、「デジタル」「脱炭素」「防災」です。

(写真:ez_thug/gettyImages)
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 まずはデジタル。特集の最初に取り上げたのが、「IT重説(重要事項説明)の解禁」です。国のデジタル化推進の方針を受け、書面や押印、対面規制の見直しが加速しています。IT重説の正式解禁は、建築士向けの規制緩和の第1弾です。国土交通省は1月18日、実施マニュアルを公表し、「マニュアルに沿って行われたIT説明は建築士法に基づく重説として取り扱う」とする法解釈を明らかにしました。

 このマニュアルでは、IT重説のフローを示し、建築士事務所における補助者の業務範囲と、建築士の有資格者でしか行えない業務範囲を明確にしています。建築士免許の提示については、原則として写真付き建築士免許証を用いると定めており、紙の建築士免許しかない場合、運転免許証など第三者が発行した顔写真付きの身分証明書を併せて提示する必要があるとしています。今後、予定される法改正では、法定書面のデジタル化も可能になる見通しです。

(資料:国土交通省の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
(資料:国土交通省の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 脱炭素の観点でも、建築士の「説明」に関連する制度改正が控えています。20年4月1日に、改正建築物省エネ法が完全施行。住宅を含む300m2未満の小規模建築物では、建築主への説明が義務付けられます。計画が省エネ基準に適合しているかを、建築士が建物の完成までに説明する制度で、建築主が説明不要と書面で表明した場合を除き、避けて通れません。なお、省エネ説明も、テレビ会議システムによるIT説明が可能です。

 特集では省エネ説明義務制度について、住宅分野に詳しい秋野卓生弁護士(匠総合法律事務所)に注意点を解説してもらいました。秋野弁護士は、特に設計・施工一括契約では、説明タイミングが問題になると指摘。契約後に省エネ基準に適合していないと判明した場合、建築主から賠償を求められるリスクがあるなどと、警鐘を鳴らしています。何をどのように伝え、発注者の信頼を得ていくか。建築士の説明責任は、ますます重くなりそうです。

 特集ではこのほか、防災関連を含め、建築・住宅関連の法令改正のポイントを解説しています。ますます重くなる専門家責任。仕事の進め方を点検して、トラブルに備えることが欠かせません。先んじて手を打てばリスクをチャンスに変えることもできるでしょう。法改正総ざらいの本特集は、内容盛りだくさんです。ぜひご一読ください。

<特集 目次>

建築実務が変わる! 法改正2021
デジタル、脱炭素、防災がキーワードに

■デジタル

建築士法
IT重説解禁から始まる規制緩和、図書のデジタル保存も容易に

建築基準法
押印廃止で加速する電子申請、ガイドラインも近く改訂

航空法
ドローンは「要登録」に移行、事故抑止に向け規制強化

■脱炭素

建築物省エネ法
省エネ適判対象拡大と説明義務 4月に完全施行、備えは万全か

秋野卓生弁護士が指南
省エネ説明はいつ実施すべきか? 設計・施工一括契約ではトラブルの恐れ

住宅品質確保促進法、建築物省エネ法など
「断熱等級5」を新設? 分譲・賃貸向けの表示ルールも

公共建築物等木材利用促進法
民間にも対象広げる抜本改正案、木造化・木質化さらに加速へ

長期優良住宅法、住宅品質確保促進法
分譲マンションを住棟認定に、低迷する制度の利用促進を図る

住宅品質確保促進法、住宅瑕疵担保履行法
既存住宅も紛争処理の対象に、瑕疵情報を収集するDB構築

大気汚染防止法、石綿障害予防規則
石綿建材の事前調査を報告制に、戸建てリフォームも対応を

■防災

バリアフリー法
校舎や体育館の段差100%解消、地域の防災力強化を図る

都市再生特別措置法、特定都市河川浸水被害対策法など
居住エリアから災害ゾーン除外、河川の浸水区域は建築許可制に

建築基準法
瓦の緊結を22年1月から義務化、19年房総半島台風を教訓に