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 「入社したての若手から見ると、いきなりフルリモートは無理。何も知らないのに、先輩からノウハウを盗む機会がない」「デザインレビューはオンライン化で多くの人に参加してもらえるようになったが、一方通行で細やかなやり取りができない」──。

 日経アーキテクチュア2021年5月13日号では、特集「リモート時代の若手育成法」を掲載しました。冒頭のコメントは、覆面座談会に参加した20~30代の若手設計者から飛び出した本音です。対面と異なるリモート環境でのコミュニケーションの難しさが浮かび上がります。

(写真・資料:三菱地所設計、栃木県建築士事務所協会、大成建設、清水建設、竹中工務店)
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 コロナ禍で在宅勤務をはじめとするリモートワークが急速に定着しつつある中で、課題となっているのが新人や若手の育成です。会社やチームに溶け込んで、一人前の建築実務者として活躍してもらうにはどうすればよいか、成長を促す仕組みづくりに頭を悩ませている上司や先輩も多いと思います。

 特集では設計事務所編と建設会社編に分けて、若手育成の取り組みを取材しました。デジタル環境の構築、プロセス共有のルール化、リモートとリアルのハイブリッド研修の実施など、各社が試行錯誤を積み重ねています。

 例えば日建設計は、20年から新人育成にバディ(相棒)制を導入しました。新入社員と、その相談相手となるチューターが1年間、同じプロジェクトを担当する仕組みです。この他にも、ウェビナーでプロジェクト竣工時にオンライン見学会を開催したり、社内ラジオでベテランが過去の経験を語ったり、組織の情報共有やナレッジ継承に役立つ仕組みを構築しています。

 コロナ禍が収束する気配は一向に見えず、リモートワークの利用は今後も広がるでしょう。対面を前提とした人材育成の手法を見直し、人材育成の質を高めることにつなげていく──。特集で取り上げた各社の取り組みは参考になると思います。

 リモート時代というテーマに関連し、今号はフォーカス建築で「ZOZO本社屋」を取り上げています。ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOが、コロナ収束後に「週2回出社・週3回のリモートワーク」という新しい働き方に移行する計画で、オフィスビルをつくりました。こちらも併せてご一読ください。