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 日経アーキテクチュア2021年9月23日号は、住宅特集号です。今回のテーマは「新風! 団地再生ビジネス」、副題は「迫りくる老朽化、『民』の力で郊外救う」です。郊外居住への関心や、SDGs(持続可能な開発目標)の機運の高まりを受け、団地再生ビジネスが注目を浴びています。人口減少に悩む郊外の復権はなるか、最前線を追いかけました。

(写真:生田 将人、大東公民連携まちづくり事業)
(写真:生田 将人、大東公民連携まちづくり事業)
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 特集の冒頭では、大阪府大東市で21年3月にまち開きを迎えた「morineki(もりねき)」を取り上げました。市営団地の建て替えを民間主導の公民連携型で進めた全国初の事例です。補助金は投入せず、住宅以外の機能と一体で事業を構築し、“自走”できる運営を目指しています。

 morinekiの敷地は約1ヘクタールで、ここに木造低層の共同住宅6棟、商業施設棟、公園などが配置されています。建物の所有・運営は、PPP(公民連携)エージェントの大東公民連携まちづくり事業(coomin、コーミン)が設立した特定目的会社(SPC)の東心。設計は、ブルースタジオ(東京・中央)と石本建築事務所(東京・千代田)が手掛けました。

 人口減少と高齢化に悩む大東市では、老朽化した市営住宅の扱いが課題となっていました。市は、この共同住宅を借り上げ公営住宅として利用。将来は需要に応じて、余剰の住戸を家賃補助のない民間賃貸に転換することを想定しています。

 このプロジェクトを成功に導くには、築古になっても入居希望者が現れるようにすることが欠かせません。建物の設計や維持管理に加え、地域の魅力を高める努力が必要になります。そこが、市と企業をつなぐ役割を果たすPPPエージェントの腕の見せどころです。コーミン代表取締役の入江智子氏は、「公営住宅の在り方を革新する一手段として、PPPエージェント方式を広げる前例になればと考えている」と意気込みます。

 老いゆく団地を、どう“お宝”に転じさせるか。特集では、参入が相次ぐ大手企業の取り組みもリポートしています。例えば、大和ハウス工業は郊外住宅団地の再生を目的とした専門部署を21年4月に立ち上げ、戸建て住宅団地の再生に取り組んでいます。「無印良品」の住空間事業部門を担うMUJI HOUSE(東京・豊島)は21年7月、団地内などの住戸を買い取って改修、再販する買い取り再販事業を展開すると発表しました。

 郊外団地の行く末は、建物の老朽化や住民の高齢化が懸念される民間マンションの将来像とも重なります。団地再生の新潮流は、ストック時代の建築ビジネスを考えるうえでヒントになると思います。