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 八千代エンジニヤリングとブレインパッド(東京都港区)は、人工知能(AI)を使って河川の護岸コンクリートに生じたひび割れを写真から自動検出する「GoganGo(ゴガン・ゴー)」を共同で開発した。護岸の点検の効率化につながり、数十キロメートルに及ぶ点検区間のひび割れをわずか数日で見つけ出すことができる。

ゴガン・ゴーは、検出したひび割れを赤く着色表示する(出所:八千代エンジニヤリング)
ゴガン・ゴーは、検出したひび割れを赤く着色表示する(出所:八千代エンジニヤリング)
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 河川の護岸はおおむね5年に1回、全区間を点検する必要がある。劣化や変状を目視で調べ、ひび割れが生じていればスケッチして記録する。人力に頼るため手間がかかり、延長20kmの点検時間は記録台帳の作成などを含めて3カ月程度。全国に流れる河川は総延長14万5000kmに上り、点検の効率化が求められていた。

 ゴガン・ゴーを使って点検するには、まずカメラを使って対岸から護岸を撮影。延長100m当たり10~15枚を写してシステムに取り込むと、写真からひび割れをAIが認識して着色する。1時間で約100枚を処理し、撮影を含めても数日で点検を完了できる。

 写真には位置情報を結び付けるので、点検区間のどこにひび割れが多く発生しているかを一覧で表示することが可能だ。損傷の大きい箇所が一目で分かり、詳細点検や補修工事などを検討する際の優先順位付けに役立つ。

ゴガン・ゴーの操作画面。護岸の写真を一覧表示する(出所:八千代エンジニヤリング)
ゴガン・ゴーの操作画面。護岸の写真を一覧表示する(出所:八千代エンジニヤリング)
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 ゴガン・ゴーには深層学習(ディープラーニング)というAIの学習システムを搭載。対象護岸のひび割れを技術者の目でチェックした「教師データ」の写真を複数枚読み込ませれば、「護岸に生じたひび割れ」の特徴を自動で学習する。

 一度学んだ後は、撮影した写真をそのまま取り込むだけでひび割れを検出できる。当初、AIの教育には100~200枚の教師データが必要だったが、改良を重ねた結果、30枚程度で十分な検出精度を確保できるようになった。護岸コンクリートの意匠や形状が異なる場合は、その都度教師データを読み込ませる必要がある。

河川護岸の劣化程度を地図上に表示できる機能を開発中(出所:八千代エンジニヤリング)
河川護岸の劣化程度を地図上に表示できる機能を開発中(出所:八千代エンジニヤリング)
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 ゴガン・ゴーの開発が始まったのは2016年10月頃。護岸の点検を効率化したい八千代エンジニヤリングが、AI技術に強みを持つブレインパッドに話を持ちかけた。両社は今後、ひび割れだけでなく様々な劣化状況も検出できるように改良を加えるほか、海岸の護岸やダムといったコンクリート構造物の点検にも適用範囲を広げる方針だ。ドローン(無人航空機)を使った撮影方法を検討するなど、さらなる効率化も目指す。

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