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 ダンプ車に土砂を3回積み込むのにかかる時間は――。重機のオペレーターだけでなく、建設従事者以外もつい夢中になってしまうAndroid端末用の油圧ショベルの操作訓練アプリを、エンジニアの人材派遣・教育事業を行うトライアロー(東京・港)が開発した。その名も「重機でGO」だ。

スマートフォンのAndroid端末で使えるアプリ。油圧ショベルを操作して、ダンプ車へ土砂を積み込む場面(写真:トライアロー)
スマートフォンのAndroid端末で使えるアプリ。油圧ショベルを操作して、ダンプ車へ土砂を積み込む場面(写真:トライアロー)
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ダンプ車へ土砂を3回積み込むまでにかかる時間が表示される(資料:トライアロー)
ダンプ車へ土砂を3回積み込むまでにかかる時間が表示される(資料:トライアロー)
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 2019年5月15日からGoogle Playストアで無料ダウンロードできる予定だ。プロの重機オペレーターの訓練用に使ってもらうため、本物志向にこだわった。

 特徴の1つが、油圧ショベルのレバーの操作パターンを正確に再現している点だ。油圧ショベルのレバーは大別して、以下の2つ。走行装置のクローラーを駆動させる左右の「走行レバー」と、土などをすくうバケットやアーム・ブームから成る作業装置を動かす左右の「作業レバー」だ。

油圧ショベルの基本構造。クローラーが付いている足回りの走行装置と、エンジンや運転席、油圧制御装置などを搭載した上部旋回体、それからバケットやアーム、ブームなどから成る作業装置の3つに分かれる。取材を基に日経コンストラクションが作成
油圧ショベルの基本構造。クローラーが付いている足回りの走行装置と、エンジンや運転席、油圧制御装置などを搭載した上部旋回体、それからバケットやアーム、ブームなどから成る作業装置の3つに分かれる。取材を基に日経コンストラクションが作成
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油圧ショベルの運転席の様子。走行レバーと作業レバーがそれぞれ左右に2つずつ配置されている。基本的に、これらの4つのレバーを駆使して油圧ショベルを動かす(写真:寿建設)
油圧ショベルの運転席の様子。走行レバーと作業レバーがそれぞれ左右に2つずつ配置されている。基本的に、これらの4つのレバーを駆使して油圧ショベルを動かす(写真:寿建設)
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 作業レバーは左と右で、動く部位や動き方が異なる。例えば、左の作業レバーを前に押すとアームが伸び、右の作業レバーを前に押すとブームが下げる。その他、左作業レバーを左に押すと左に旋回するが、右作業レバーを左に押すとバケットをかき込む。開発したアプリでは、このような難解なレバーの操作パターンをそのまま踏襲した。スマートフォンなので、レバーの代わりに画面に表示されるボタンを上下左右に押すことになる。

レバーの選択画面。レバーの操作パターンは、実機をそのまま採用。JIS方式かコマツ方式を選択できる(資料:トライアロー)
レバーの選択画面。レバーの操作パターンは、実機をそのまま採用。JIS方式かコマツ方式を選択できる(資料:トライアロー)
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 レバーのパターンは、JIS(日本工業規格)方式かコマツ方式のどちらかを選べる。トライアローによると現在、重機のレバーのほとんどがこの2つの方式に分かれるため、両方を扱えるようにした。

 トライアロー営業企画仙台IoTラボの小岩忍プロジェクトマネージャーは言う。「重機を動かして遊ぶゲーム用のアプリはあるが、実際の重機の操作性を反映した本格的なタイプはないはずだ。実技試験前やこれから重機を運転する人の予習・復習に使える」。

 改正出入国管理法が2019年4月1日に施行され、海外の技能実習生の受け入れ体制が変わるのを見据えて、外国人でも扱えるように、アプリでは日本語と英語を選択できる。