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 熊谷組は、断面積10m2程度の小断面トンネルにコンクリートを自動で吹き付けるシステムを開発した。試作機では、小型バックホーに取り付けたロボットアームが、オペレーターの教示した動作を忠実に再現。粉じんが舞う狭いトンネル内で、作業員が切り羽に接近して吹き付ける必要がなくなり、作業環境の改善が図れる。

自動吹き付け機システムの試作機。小型バックホーに吹き付け用のロボットアームと教示システムを搭載している。実際の装置は、レール上を走行する専用機をベースにする(写真:熊谷組)
自動吹き付け機システムの試作機。小型バックホーに吹き付け用のロボットアームと教示システムを搭載している。実際の装置は、レール上を走行する専用機をベースにする(写真:熊谷組)
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 試作機には、ロボットアームや教示(ティーチング)システムなどを搭載した。「教示モード」にした状態で、オペレーターが操作して、吹き付けの動作を覚えさせた後は「再生モード」に切り替えれば、自動で吹き付ける仕組みだ。自動運転のオン・オフは遠隔で操作する。

 高精度位置検出装置と比例電磁制御弁を採用して、ロボットアームの的確でスムーズな動きを高い水準で再現した。

 高精度位置検出装置とは、ロボットアームの各関節に搭載したセンサーで位置を検知する技術だ。1mm以下の高い精度を持つ。さらに比例電磁制御弁で、ロボットアームを動かす油圧モーターに送る油量を細かくコントロールする。オペレーターの動きを忠実に再現できる。通常の制御弁では、油量の調節はオン・オフの切り替えのみだ。

自動吹き付け機システムのイメージ。制御盤PLCは、装置の頭脳。高精度位置検出装置が取得する情報から、負荷変動に対して適切に比例電磁制御弁を動作させる(資料:熊谷組)
自動吹き付け機システムのイメージ。制御盤PLCは、装置の頭脳。高精度位置検出装置が取得する情報から、負荷変動に対して適切に比例電磁制御弁を動作させる(資料:熊谷組)
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 そして、吹き付け機の頭脳となる制御盤が、教示した位置を高精度位置検出装置で監視しながら、負荷変動に対して適切に比例電磁制御弁を動作させることにより、高い再現度を可能にしている。

 吹き付け材に塗料を使った実験では、オペレーターによる手動と自動の吹き付け位置の差は上下左右ともに±2mm程度だった。模擬トンネルでの実験では、吹き付け位置の差が上下は±2cm、左右は±1cm以内に、吹き付け厚さの誤差は±3cmに収まった。

模擬トンネルで実施したコンクリートの吹き付け実験の様子。写真左はオペレーターによる手動。吹き付け位置の差は、上下±2cm、左右±1cm以内、厚さの誤差は±3cmに収まり、システムの有効性を確認した(写真:熊谷組)
模擬トンネルで実施したコンクリートの吹き付け実験の様子。写真左はオペレーターによる手動。吹き付け位置の差は、上下±2cm、左右±1cm以内、厚さの誤差は±3cmに収まり、システムの有効性を確認した(写真:熊谷組)
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 試作機での成功を踏まえて、最終的にはNATM(ナトム)工法で使うレール式の掘削専用機へ搭載する予定だ。小水力発電所の導水トンネル現場での吹き付けを主な使用対象にしている。2020年度の現場適用を目指す。

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