全1185文字
PR

 東京メトロは東京大学大学院などと共同で、GNSS(衛星を用いた測位システムの総称)の電波が届かないトンネル内の高所を安全に点検する、球形のフレームで包んだドローンを開発した。通風口やトンネル建設時のたて坑の点検などに活用する。機体はベイシスコンサルティング(東京・文京)と開発し、運用方法などは東大大学院情報学環ユビキタス情報社会基盤研究センターの助言を受けた。

東京メトロが2020年2月25日に報道陣向けに公開したデモ飛行の様子。同社の研修センター内にある模擬トンネルで、高所にある開口部をドローンで点検した(写真:東京メトロ)
東京メトロが2020年2月25日に報道陣向けに公開したデモ飛行の様子。同社の研修センター内にある模擬トンネルで、高所にある開口部をドローンで点検した(写真:東京メトロ)
[画像のクリックで拡大表示]

 東京メトロは、法令で定める2年に1度の鉄道トンネルの定期点検で、主に線路上からの目視によって異常の有無を確認している。劣化や損傷の兆候を見つけた場合、足場を組んだり高所作業車を使ったりして詳細に点検する。ただし、線路上からでは高所にある劣化の程度を見分けるのが難しく、わずかな損傷であっても詳細点検を実施することが多かった。

 開発したドローンは、4K画質のカメラと照明を搭載している。撮影したデータは点検者にリアルタイムで転送され、線路上からの目視よりも高い精度でコンクリートのひび割れや析出物などを確認できる。バッテリーの充電で最大5分間の飛行が可能だ。

開発したドローンで撮影したコンクリート表面。析出物の様子などが確認できる。この写真では、照明を点灯していない(写真:東京メトロ)
開発したドローンで撮影したコンクリート表面。析出物の様子などが確認できる。この写真では、照明を点灯していない(写真:東京メトロ)
[画像のクリックで拡大表示]

 市販のドローンは一般的に、GNSSの電波を使って自動で飛行できる。一方、トンネル内はGNSSの電波が届かないため手動で操作する必要があり、飛行が不安定になりやすい。そこで、機体がトンネル壁面などにぶつかっても損傷しないように、プラスチック製の球形フレームで保護した。フレームの直径は40cmで、通風口の内部などにも入り込める。

 機体から発する照明がフレームに反射して点検対象が見えづらくならないように、カメラに写る機体正面のフレームだけ黒色に塗装して反射を抑えた。