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 西松建設、れんたま(東京都町田市)、タグチ工業(福岡市)はダムのかさ上げ工事で、コンクリートの増し打ち前に、堤体の斜面を機械ではつるシステムを共同開発した。危険な場所に人が立ち入る必要が無く、手作業と比較して生産性が3倍以上高くなる。

堤体の斜面を切削機ではつるイメージ(資料:西松建設)
堤体の斜面を切削機ではつるイメージ(資料:西松建設)
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堤体の斜面に沿って上昇するイメージ。天端にアンカーを設置し、ワイヤーで昇降させる(資料:西松建設)
堤体の斜面に沿って上昇するイメージ。天端にアンカーを設置し、ワイヤーで昇降させる(資料:西松建設)
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 既設ダムのかさ上げでは、ダムの安定性を確保するために堤体の下流の斜面にもコンクリートを増し打つ必要がある。新設と既設のコンクリートを一体化させるために、従来は足場を構築して既設の表面を手作業ではつるのが一般的だった。

 開発しシステムは切削用の装置に取り付けたセンサーや監視用カメラからの情報を基に、オペレーターが1人で遠隔操作する。通信環境が許す範囲であれば、どこからでも操作は可能だ。安全性が確保される上、手作業と違って技量を必要としない。

 現場ではまず、天端に設置したアンカーから装置をワイヤで吊り下げて、堤体の下端に配置する。次いで、昇降用巻き上げ機で上部方向へコンクリート面を切削していく。装置が登りきり切削を完了すると、再び装置を下ろして装置の車輪の向きを90°回転。隣り合う面に走行させて、再度切削を始める。

施工手順。(左上)切削機を稼働させながら装置を引き上げる、(右上)切削機の動きを止めた状態で装置を下端まで下ろす、(左下)車輪の向きを90°回転させて隣の面に移動、(右下)再び上昇させながら下流面を切削。この工程を繰り返して下流面全体を切削していく(資料:西松建設)
施工手順。(左上)切削機を稼働させながら装置を引き上げる、(右上)切削機の動きを止めた状態で装置を下端まで下ろす、(左下)車輪の向きを90°回転させて隣の面に移動、(右下)再び上昇させながら下流面を切削。この工程を繰り返して下流面全体を切削していく(資料:西松建設)
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 切削機は左右に動くスライド用のフレームを伝って、一度に2~6mの長さを横移動して表面をはつる。切削の幅は30cmだ。180度回転させて往復すれば60cmの幅を切削する。切削深さは、1~12cmの範囲で1cm刻みの調整が可能だ。

切削装置を正面から見たイメージ。先端にコンクリートを均一な深さではつる切削機が、両側には走行用の車輪が付いている。装置のサイズは幅7.5m、長さ5.5m(資料:西松建設)
切削装置を正面から見たイメージ。先端にコンクリートを均一な深さではつる切削機が、両側には走行用の車輪が付いている。装置のサイズは幅7.5m、長さ5.5m(資料:西松建設)