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 福山コンサルタントは、河川内にある橋梁の下部工基礎の洗掘(せんくつ)状況を遠隔地から監視するモニタリングシステムを開発した。携帯電話の通信回線によるインターネットを用い、現地に行かずにデータの計測や健全度の確認が行える。洪水発生時に橋梁の通行可否を迅速に判断するのに役立つ。

橋梁下部工の洗掘状況をモニタリングするシステムのイメージ。インターネットに接続することで、現地に行かなくても計測や確認が可能になった(資料:福山コンサルタント)
橋梁下部工の洗掘状況をモニタリングするシステムのイメージ。インターネットに接続することで、現地に行かなくても計測や確認が可能になった(資料:福山コンサルタント)
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 橋脚の基礎周辺の土砂が洗い流されると、橋脚の固有振動数(1秒間に振動する回数)が低下する。開発したシステムでは固有振動数の変化を計測して、洗掘量を定量的に把握する。

 具体的には橋脚の複数箇所に加速度センサーを設置し、応答加速度波形(振動)を計測。得られた計測結果に対して周波数応答解析を行い、固有振動数を算定する。洗掘量を継続的に監視するために、加速度センサーは橋脚に常設しておく。

橋脚の複数箇所に加速度センサーを取り付けて振動を計測。得られた振動データを解析し、近接目視が困難な橋脚基礎の洗掘量を継続的に監視する(写真:福山コンサルタント)
橋脚の複数箇所に加速度センサーを取り付けて振動を計測。得られた振動データを解析し、近接目視が困難な橋脚基礎の洗掘量を継続的に監視する(写真:福山コンサルタント)
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 加速度センサーで収集したデータは「データ記憶装置」から管理サーバーに送信し、蓄積する。安全上の限界となる洗掘量に達した異常時には、事前に設定した管理者などの連絡先にメールで通知する。

現地で洗掘状況を調査する従来の方法。時間がかかる上に危険が伴っていた(写真:福山コンサルタント)
現地で洗掘状況を調査する従来の方法。時間がかかる上に危険が伴っていた(写真:福山コンサルタント)
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 安全上の限界となる洗掘量は、道路橋示方書に基づいて算定する。その時の固有振動数から、定量的なしきい値を設定できる。また、簡易的な方法として、固有振動数が初期計測時から低下した割合を基にアラートを出すことも可能だ。

 導入に当たっての概算コストは、センサーモジュール3台、中継機1台、その他の機材一式を用い、5年間継続してモニタリングする場合で、橋脚1基当たり約85万円だ。加えて、しきい値の設定などに要する費用が別途必要となる。下部工基礎の形式や地盤条件により異なるため、見積もりとなる。