スタートアップのクアンド(北九州市)は、従来のビデオ通話ソフトにない機能を搭載した建設現場向けの遠隔コミュニケーションツール「SynQ Remote(シンクリモート)」を開発した。離れた場所からビデオ通話しながら、現場のスマートフォンに描画やポインターの機能を使って指示できる他、音声データを自動テキスト化して表示する。
新型コロナウイルスの感染症拡大を機に、現場へ行かずにビデオ通話で監督や検査などをこなすケースが増えてきた。スマートフォンで撮影した映像を遠隔地から見ながら、指示を出す。ただ、音声や映像だけでは細かい内容まで伝わりきらず、現場の騒音で声が聞こえないことも少なくなかった。
シンクリモートは、それらの建設現場での問題を解決する機能を搭載している。例えば、ポインター機能。遠隔地のモニターに映る現場の映像で気になる箇所を指で触ると、現場のスマートフォンの画面にポインターで反映される。逆にスマホで触れた箇所も同様に遠隔地のモニターに反映される。
「ポインターは双方向で出る。これまで『配線をこう設置したい』といった現場の意見は、話すだけでは伝わりきらなかった。シンクリモートだと簡単に共有できる」。クアンドの下岡純一郎CEOはこう話す。
他にも、スマートフォンの画面に描いた図をその場で保存して共有できる。口頭で伝えた内容を自動でテキスト化して、画面に表示することも可能だ。
「スマートグラスなどは、初期費用が高いし、使い方が難しい。その点、シンクリモートはアプリケーション1つとブラウザーにアクセスできればすぐに始められる」(下岡CEO)
また普段、IT(情報技術)にあまりなじみのない人でも使えるユーザーインターフェースを心がけた。工事現場別で人を招待できるようにして、リスト化。クリックすればすぐに電話を掛けられるようにした。