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 三井住友建設は、土工事中の広範囲の地盤挙動を監視するクラウドシステム「GENESIS(ジェネシス)/FHQ」を開発した。リアルタイムで地盤の変状を検知して、施工管理の効率化に役立てる。

クラウドシステム「GENESIS/FHQ」のイメージ図(資料:三井住友建設)
クラウドシステム「GENESIS/FHQ」のイメージ図(資料:三井住友建設)
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 GENESIS/FHQは、同社や神戸大学の芥川真一教授などが共同で開発し2014年に実用化した自立型地盤挙動監視局「GENESIS/FPS」を活用する。太陽光発電機能やパケット通信機能を備えた基地局と各観測地点とを特定小電力無線で結び、双方向通信でデータの採取と測定制御を可能にする。

 基地局から工事事務所などのパソコンに送られる地盤変位や地下水位といった観測データはこれまで、時系列の数値情報だった。GENESIS/FHQでは、クラウド上で一元的にデータベース化。その上でシステムが評価・分析した地盤の挙動を、地形図上に可視化する。

 さらに、計測地点以外の地盤の挙動の評価に、天気図などの作製に使われる統計学的手法「クリギング法」を採用した。これによって、より局所的に特異な挙動が分かるようになり、危険範囲を容易に特定できる。従来は平均法によって地盤の挙動を評価していた。

「クリギング法」による挙動評価の結果画面(資料:三井住友建設)
「クリギング法」による挙動評価の結果画面(資料:三井住友建設)
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 土工事における地盤の挙動監視は、監視網を設営するための電力供給や通信網の構築に多大な労力と費用がかかり、作業自体にも危険が伴うため、包括的なモニタリングは難しいとされていた。

 GENESIS/FHQは、三井住友建設の土地造成工事の現場で利用している。今後は、人工知能による変状予測の精度を高めるべく、計測したデータを教師データとして蓄積する。加えて、粉じんや水質、騒音などの環境モニタリング項目を追加することで、施工現場における環境負荷の低減にも役立てていく。