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 熊谷組と極東建設(那覇市)は、濁った水の中に積もった土砂などを音波センサー(ソナー)で可視化して掘削作業の効率を上げる小型水中バックホーを共同で開発した。地形と機体を俯瞰(ふかん)して水中のオペレーターの手元の画面に表示する「水中マシンガイダンス」を搭載し、操作を支援する。潜水士が誘導して運転する場合に比べて、作業効率を約3倍に高められる。

 2m先が全く見えないダムの放水口の内部に投入し、約530m3の土砂の掘削に成功した。マシンガイダンス付き水中バックホーを実工事に適用したのは国内初とみられる。

モニターの表示画面の例。ソナーで得られる地形は2次元の断面図(左上)なので、バックホーを旋回して面的な情報に変換する(左下)。俯瞰(ふかん)図としても表示できる(右)(資料:熊谷組)
モニターの表示画面の例。ソナーで得られる地形は2次元の断面図(左上)なので、バックホーを旋回して面的な情報に変換する(左下)。俯瞰(ふかん)図としても表示できる(右)(資料:熊谷組)
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 一般的なマシンガイダンスのシステムは、GNSS(衛星測位システムの総称)やレーザースキャナーで建機の位置や土砂の形状を得る。そこに設計データを組み合わせ、掘削する深さや範囲を可視化する。一方、水中ではGNSSの電波が届かずレーザースキャナーも使えない。そこで、音波の反響を利用するソナーで地形や障害物などを認識する。

 開発した水中バックホーでは、まず機体の前方に向けたソナーで足元に堆積した土砂の断面を計測する。次に、ソナーごと機体上部を旋回して計測範囲を広げ、面的に地形を把握。土砂との距離などからバックホーの相対位置も検出する。

水中バックホーに装備した各種のセンサー。機体前方のソナーで地形を計測し、天頂部の壁面ソナーで周囲の安全を確認する。バックホーは2.99tでバケット容量は0.09m3クラス。放水口の内部に入るために小型のバックホーが必須だった(資料:熊谷組)
水中バックホーに装備した各種のセンサー。機体前方のソナーで地形を計測し、天頂部の壁面ソナーで周囲の安全を確認する。バックホーは2.99tでバケット容量は0.09m3クラス。放水口の内部に入るために小型のバックホーが必須だった(資料:熊谷組)
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 以降は、通常のマシンガイダンスと同様に扱う。バックホーのアームの角度や機体の姿勢をセンサーで読み取り、土砂の形状とともにモニターに表示。オペレーターは俯瞰図や平面図を見ながらバックホーを操作する。何度か掘削すると土砂の形状が変わるので、ソナーでスキャンし直す。

 ただし、モニターは防水ケースに入れる必要があるので、オペレーターが触れて操作することはできない。熊谷組などは水上に設置した支援室にモニターの画面を同期して、表示画面を切り替えたり作業手順を指示したりした。