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 鹿島は、山岳トンネルのコンクリート吹き付け作業の自動化に成功した。壁面の凹凸などを3次元で計測して、ノズルの角度やコンクリートの吐き出し量を最適に調整。設計厚さとの誤差を2cm以下に抑える。施工時間の短縮やコンクリートの跳ね返り(リバウンド)の削減にも効果がある。同社が構築を目指す山岳トンネルの自動化施工システム「A4CSEL for Tunnel(クワッドアクセル・フォー・トンネル)」の一環だ。

模擬トンネルでの試験施工の様子をタイムラプスで撮影。支保工の裏、壁面、鏡面の順番で吹き付けた。ノズルを細かく振るのは、コンクリートポンプの脈動の影響を減らして均一性を高めるためだ(資料:日経クロステック)

 2021年6月30日、鹿島が日本建設機械施工協会の施工技術総合研究所(静岡県富士市)に設けた実物大の模擬トンネルで試験施工の様子を公開した。断面積76m2の切り羽の半分を30分足らずで吹き付けた。

 使用するコンクリート吹き付け機は、ブームやノズルを自動で制御できるように改造した汎用機だ。伸縮する一対のブームとアームを持ち、その先端にノズルが付く。それぞれの接点で上下・左右に旋回し、吹き付け面に対するノズルの角度と距離を調整。あらかじめ定めた吹き付けパターンに沿って自動で動く。

 吹き付けが必要な箇所は、壁面、鏡面、支保工の裏の3つ。要求される仕様は箇所に応じて異なる。例えば、鏡面では肌落ちを防ぐのが目的のため、吹き付け厚さが規定値を満足すればよい。一方、壁面は吹き付け後に防水シートなどを施工するので、厚さの確保に加えて表面を平滑に仕上げなければならない。

 そこで鹿島は、施工箇所ごとに吹き付けパターンを分けた。鏡面では、ノズルと吹き付け面の距離を一定に保つ。ブームの旋回方向と反対向きにノズルを回転させ、吹き付け角度が変わらないようにする。 

 壁面では吹き付け範囲をタイル張りのように分割。厚さ方向も4層に分けて施工した。1層目の吹き付けを終えたら境界を3cmほどずらして、2層目をラップさせて施工する。それを繰り返してタイル間の段差をなくし、きれいに仕上げる。