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 飛島建設と早稲田大学基幹理工学部表現工学科の及川靖広教授の研究室は、音の計測結果を実空間に重ねてリアルタイムで表示する音響可視化システム「OTOMIRU(おとみる)」を共同で開発した。建設現場から漏れる音の探査などに使える。

上はOTOMIRUを使って、ラフテレーンクレーンとバックホーのエンジン音を測定している様子。下は可視化後に、光学透過型ヘッドマウントディスプレーに投影されるカラーマップのイメージ(資料:飛島建設)
上はOTOMIRUを使って、ラフテレーンクレーンとバックホーのエンジン音を測定している様子。下は可視化後に、光学透過型ヘッドマウントディスプレーに投影されるカラーマップのイメージ(資料:飛島建設)
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 計測したい場所に、16個の無指向性マイクの付いたマイクロホンアレーを設置するだけでよい。マイクで収録した音を演算ユニットに転送。音圧レベルの分布を算出し、その結果を光学透過型ヘッドマウントディスプレー(HMD)に送る。音圧レベルの分布を色で表示したカラーマップが、HMDを通して見る実空間にリアルタイムで投影される仕組みだ。

 「視覚と聴覚によって音を確認できる技術だ」。飛島建設技術研究所研究開発グループ第二研究室の佐藤考浩研究員は、OTOMIRUをこう説明する。

OTOMIRUのシステムの概要(資料:飛島建設)
OTOMIRUのシステムの概要(資料:飛島建設)
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 計測位置からの距離を設定すれば、その地点における音圧レベルを算出し、カラーマップを映し出す。例えば、計測位置から2m先の距離を設定すれば、HMDでは2m四方のカラーマップの断面を、設定した地点に投影する。計測位置からの距離とカラーマップで表示される1辺の長さは比例する。

HMDを通して見える音圧レベルの分布の断面。計測位置から2.5mの距離に投影している。HMDを装着した人が移動しても、断面は固定されて見える(資料:飛島建設)
HMDを通して見える音圧レベルの分布の断面。計測位置から2.5mの距離に投影している。HMDを装着した人が移動しても、断面は固定されて見える(資料:飛島建設)
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 HMDを装着した人が場所を移動しても、HMDに投影される断面は固定され続ける。そのため、様々な場所で評価することが可能だ。また複数台のHMDで計測結果を共有できる。

 開発に協力したベンチャー企業のINSPIREI(インスピライ、東京・新宿)の井上敦登CEOは、「音の可視化では事前にシミュレーションを実施した結果を見せるのが一般的だ。実測した値をMR(複合現実)でリアルタイムに見る技術は、これまであまりなかった」と話す。

 計測の開始や停止、測定パラメーターの変更などは、HMDで操作できる。

HMDの前に手をかざすと、操作ボタンの画像が表示される(資料:飛島建設)
HMDの前に手をかざすと、操作ボタンの画像が表示される(資料:飛島建設)
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