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 清水建設は、山岳トンネル工事の進捗に応じて変化する切り羽前方の湧水量を、デジタルツインとAI(人工知能)で定量的かつ高精度に予測する「地山予報システム」を開発した。翌日以降の湧水量を常に予測しながら施工するため、想定外の湧水リスクを回避でき、現場管理者の作業の負担を軽減する。

「地山予報システム」の概念図。システムは、工事現場で湧水量を測定する装置、データを蓄積するクラウドまたは社内サーバー、地山の透水係数を同定するAI、浸透流を解析するソフトウエア、浸透流を解析した結果を可視化するソフトウエアで構成する。予報結果は作業員の誰もが理解しやすい簡易な帳票形式で出す(資料:清水建設)
「地山予報システム」の概念図。システムは、工事現場で湧水量を測定する装置、データを蓄積するクラウドまたは社内サーバー、地山の透水係数を同定するAI、浸透流を解析するソフトウエア、浸透流を解析した結果を可視化するソフトウエアで構成する。予報結果は作業員の誰もが理解しやすい簡易な帳票形式で出す(資料:清水建設)
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 デジタルツインは、現実空間の環境を仮想空間に再現する技術だ。開発したシステムでは、日々の施工データを反映した仮想空間上において、切り羽の地下水環境の経時変化をシミュレーションで可視化する。

 湧水を予測するシミュレーションの核となるのは、AIによる地山特性の同定技術だ。現場で常時取得する切り羽の湧水量から、対象となる地山特性に合致する透水係数をAIが仮想空間上で同定する。透水係数が分かれば、3次元浸透流解析によって湧水量の予測値を算出できる。

3次元浸透流解析を実施するモデル図。九州新幹線の木場トンネル工事(長崎県大村市)で実測した切り羽の経時的な湧水データを用い、システムの動作を確認する試験を行った(資料:清水建設)
3次元浸透流解析を実施するモデル図。九州新幹線の木場トンネル工事(長崎県大村市)で実測した切り羽の経時的な湧水データを用い、システムの動作を確認する試験を行った(資料:清水建設)
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 AIが同定した透水係数を基にシミュレーションを実施することで、高精度な予測を即時的に行うことが可能になった。従来は、地質とトンネル解析の専門技術者が2人で従事した場合で、1カ月前後の時間を要していた。