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 米Skydio(スカイディオ)は、橋脚や鉄塔といったインフラ施設のドローン点検で、飛行プランの作成から操縦・撮影までを自動化するソフトウエア「Skydio 3D Scan」を開発した。撮影データを基に3次元モデルをつくり、効率的な点検につなげる。NTTドコモが技術検証などを通じて開発に協力した。

 オペレーターが操縦する場合に比べて、3次元モデル化に必要な写真枚数を約4分の1に削減。撮影時間をおよそ半分に抑えられる。

照明柱を撮影している際のSkydio 3D Scanのアプリ画面。ドローンのカメラ映像をリアルタイムで表示する。3次元モデルをつくるのに十分なデータが集まると紫色に変わる。白線は飛行経路。NTTドコモによる照明柱の撮影のデモンストレーションでは、離隔を2.8m、ラップ率を69%に設定し、撮影時のホバリングを有効にして飛行。バッテリーの交換を試した時間を除き、240枚の写真を約15分で撮影した(資料:NTTドコモ)
照明柱を撮影している際のSkydio 3D Scanのアプリ画面。ドローンのカメラ映像をリアルタイムで表示する。3次元モデルをつくるのに十分なデータが集まると紫色に変わる。白線は飛行経路。NTTドコモによる照明柱の撮影のデモンストレーションでは、離隔を2.8m、ラップ率を69%に設定し、撮影時のホバリングを有効にして飛行。バッテリーの交換を試した時間を除き、240枚の写真を約15分で撮影した(資料:NTTドコモ)
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 開発したソフトでは、スカイディオが開発したドローン「Skydio2」を用いる。Visual-SLAMという技術を搭載し、GNSS(衛星測位システムの総称)の電波が届かない橋桁の下でも自己位置を推定できる。同技術によって、障害物を自律的に避ける機能も持つ。

Skydio 3D Scanのデモンストレーションで用いたドローン「Skydio2」。データを処理するためのSDカードスロットを追加している。上下に3つずつ搭載したカメラによって周囲地形や障害物を把握し、自己位置を推定する。屋外ではGNSSの電波も使える(写真:日経クロステック)
Skydio 3D Scanのデモンストレーションで用いたドローン「Skydio2」。データを処理するためのSDカードスロットを追加している。上下に3つずつ搭載したカメラによって周囲地形や障害物を把握し、自己位置を推定する。屋外ではGNSSの電波も使える(写真:日経クロステック)
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 オペレーターはまず、手動で点検対象を見渡せる位置までドローンを飛ばして待機させる。次に、コントローラーと一体化したタブレット端末の画面上で専用のアプリを操作。ドローンのカメラ映像を見ながら、飛行する高さの上限と下限を指定する。橋の桁下を点検している際、路面上に飛び出てしまうトラブルなどを防ぐためだ。

 その上で、点検対象の周囲を飛ばして、撮影する範囲の四隅を指定する。以降は全て自動だ。指定した4点を結ぶ線から鉛直方向に押し出した面と上限、下限の面に囲まれた直方体の内側にある施設をドローンが認識。概形を計測してから、飛行プランを即座に立案する。そのプランに沿って、自動操縦で撮影を始める。

 例えば照明柱を点検する場合、初めに柱の周囲を水平方向に回りながら全体を撮影。続けて高さを方向も同様に撮影する。飛行プランに応じて、カメラの角度を上下に180度回転させる。

 NTTドコモは、橋脚や鉄塔などの撮影でもSkydio 3D Scanを使えると実証済みだ。自動車事故の現場を記録するといった使い方もできる。

点検対象の近くまでは手動で飛ばす。ドローンが点検対象を認識して以降は、自動操縦で飛行する(写真:日経クロステック)
点検対象の近くまでは手動で飛ばす。ドローンが点検対象を認識して以降は、自動操縦で飛行する(写真:日経クロステック)
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照明柱を下から撮影している際のアプリ画面。点検対象の3次元モデルをつくるため、カメラを上下に動かして様々な方向から撮影する(資料:NTTドコモ)
照明柱を下から撮影している際のアプリ画面。点検対象の3次元モデルをつくるため、カメラを上下に動かして様々な方向から撮影する(資料:NTTドコモ)
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